論文 - 藤野　明浩

大量胎児腹水を認め,その後自然消失した総排泄腔遺残の一症例

西村, 修, 鶴田, 智彦, 樋口, 隆幸, 舛本, 暢生, 菊地, 正晃, 長谷川, 壽彦, 藤野, 明浩, 平林, 健, 杉森, 光子 and 桑島, 成子

栃木県産婦人科医報 32 （ 1 ） 50 - 53 2005年09月

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総排泄腔は,直腸,腟および尿路が一つの共通管として存在している胎生期の状態である.発達過程において,総排泄腔の分離不全が起こると総排泄腔遺残が生じる.総排泄腔遺残は,その分離不全の程度によって,様々な症状を引き起こすが,胎児腹水もそのうちの1症状とされている.今回我々は,妊娠26週に大量の胎児腹水を認め,その後自然消失した総排泄腔遺残の症例を経験したので報告する.症例は28歳,0経妊0経産婦.妊娠26週に前医にて胎児腹水指摘され,当院へ紹介受診.超音波断層法および胎児MRI法により総排泄腔遺残と診断した.大量の胎児腹水を認めたが,胎児水腫はなく,また羊水量が正常であったため,経過観察とした.妊娠32週には完全に胎児腹水が消失し,妊娠36週5日,帝王切開を行った.児は腟と尿路は交通していたが,肛門は独立した総排泄腔遺残であった(著者抄録)

【小児期の固形異物　どう診断して,どう治療するか?】　縦隔腫瘤と気管食道瘻を形成した小児食道異物(プラスチック箔)

平林, 健, 藤野, 明浩 and 羽金, 和彦

小児外科 37 （ 8 ） 934 - 936 2005年08月

ISSN  0385-6313

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2歳男児.1歳4ヵ月頃より嚥下障害・咳嗽・発熱を訴え,血清CRP高値,画像検査で食道を左背側に圧排する管腔様構造物を認め,食道重複症が疑われた.1歳6ヵ月時,上部消化管造影で第3肋間の高さに気管食道瘻が存在し,食道内視鏡でも食道側壁に気管チューブが透見された.CT・MRIでは,中部食道周囲に内部に小さな含気を伴った管腔様陰影を認めたため胃瘻を造設した.その後呼吸器症状は軽快傾向を示し,1歳11ヵ月時の上部消化管造影で気管食道瘻の狭小化,CT・MRIでの管腔様陰影の縮小を認めた.病変部の摘出術を頸部アプローチで行ったが,頸部食道と気管が強固に癒着しており,危険性を考慮し一旦手術を終了とした.術後の食道造影で気管食道瘻の残存を認めたため,2歳時に右第4肋間開胸で再手術を行った.気管食道間は著明に癒着しており,その間を鋭的に剥離すると,食道壁内に迷入埋没し,先端が気管壁に突き刺さる形で存在したプラスチック箔を認めた.気管の瘻孔は認めなかったが,突き刺さった部分周囲を被覆閉鎖し,食道壁も縦方向に一期的に縫合閉鎖した.術後経過は順調で,反回神経麻痺等の副損傷,食道造影で気管食道瘻の遺残は認めず,2歳10ヵ月現在,既に胃瘻は抜去され,嚥下障害は認めない

新生児期に呼吸障害を呈した下咽頭梨状窩瘻の一例

新鍋, 晶浩, 田代, 昌継, 羽生, 昇, 杉森, 光子, 羽金, 和彦, 平林, 健, 藤野, 明浩 and 水足, 邦雄

小児耳鼻咽喉科 26 （ 1 ） 45 - 50 2005年07月

ISSN  0919-5858

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生後0日女児.出生1時間後に呼吸困難,チアノーゼが出現した.酸素投与なしで酸素飽和度は70%以下であったが,腹臥位で呼吸状態は改善し,喉頭側面X線,喉頭内視鏡では特に異常を認めなかった.しかし,日齢16日にX線で咽頭後壁にガス像を認め,超音波では嚢胞性腫瘤が疑われた.頸部造影CTで喉頭後壁から左の副咽頭間隙にかけて2×3cmの一部空気像を含む嚢胞性腫瘤を認め,全体として中咽頭より左甲状腺近傍まで存在した.その後腫瘤は増大し,呼吸状態が悪化したため,日齢22日に嚢胞開窓術を施行した.喉頭と胸鎖乳突筋の間に表面白色の腫瘤を認め,表層の一部を切除した.術後呼吸状態は改善したが,22日目に皮膚瘻よりミルクの漏出を認め,インジゴカルミンの注入観察で下咽頭梨状窩瘻と診断した.日齢56日に嚢胞摘出術を行い,嚢胞は分岐して一方は梨状窩に向かっており,追求し結紮切除した.他方は咽頭後壁に向かい盲端となっていた.術後経過良好で11日目に退院した

【小児呼吸器外科の新たな展開】　先天性嚢胞性腺腫様肺奇形(CCAM) CCAM症例における異常血管

藤野, 明浩, 森川, 康英, 星野, 健, 樋口, 昌孝, 平林, 健 and 羽金, 和彦

小児外科 36 （ 5 ） 594 - 598 2004年05月

ISSN  0385-6313

学童期に発症した胆嚢捻転症の1例

平林, 健, 羽金, 和彦 and 藤野, 明浩

日本小児外科学会雑誌 39 （ 7 ） 965 - 969 2003年12月

ISSN  0288-609X

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7歳男児.感冒様症状を訴えていた.心窩部痛が出現し,更に,激しい腹痛・嘔吐に症状が増悪した.9月腹部X線撮影で,麻痺性イレウスの所見を認めたため,入院となった.ALK-P,LDHの軽度上昇,軽度の炎症所見を認めるのみであった.腹部超音波・腹部CTで,壁肥厚を伴う著明に腫大した胆嚢を認めた.明らかな結石,周囲の炎症性変化を伴わなかった.胆嚢頸部における血流の機械的閉塞と考えられ,胆嚢捻転症と診断し,緊急手術を施行した.胆嚢は著明に腫大し,暗赤色を呈し壊死に陥っていた.胆嚢捻転症と診断し,胆嚢摘出術を施行した.術後経過は良好で,恵児は術後9日目に退院した

A Role of Cytokines in OK-432 Injection Therapy for Cystic Lymphangioma

Fujino Akihiro, Moriya Yoichiro, Morikawa Yasuhide, Hoshino Ken, Watanabe Toshihiko, Shimojima Naoki, Kitajima Masaki

Journal of Pediatric Surgery 38 （ 12 ） 1806 - 1809 2003年12月

ISSN  0022-3468

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<p>Purpose: This study examines cytokine levels of aspirates from cystic lymphangiomas after injection of OK-432 and over the course of several weeks to better understand the process of tumor regression. Methods: Fluids aspirated from lymphangioma cysts of 3 patients were collected sequentially before and after OK-432 injection. Mononuclear cells (MNCs) were separated and cultured with or without OK-432. Vascular endothelial growth factor (VEGF), soluble VEGF receptor 1 (sVEGFR1), sVEGFR2, transforming growth factor beta-1 (TGF-β1), interleukin (IL)-6, IL-8, IL-12+p40, tumor necrosis factor alpha (TNF-α) and interferon gamma (IFN-γ) levels in the supernatants of the aspirates and the culture supernatants of MNCs were then measured by ELISA. Results: The aspirates exhibited a marked elevation in IL-6, IL-8, VEGF, and TGF-β1 levels for a few weeks after the OK-432 injection. IL-6, IL-8, IL-12+p40, TNF-α, and IFN-γ levels were elevated in the culture supernatants of the MNC cultured with OK-432 for up to 9 days. All the tumors regressed significantly, with sclerotic change, within 3 months after OK-432 Injection. Conclusions: Cytokine production is maintained for a few weeks after OK-432 injection. Fibrotic changes may be another main mechanism in tumor regression in addition to cytotoxic effects on lymphangioma cells. A close relationship between cytokines from intracystic cells and lymphangioma cells is suggested. © 2003 Elsevier Inc. All rights reserved.</p>

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診断に苦慮した胎児空腸閉鎖症の一例

渡邊, 広是, 西村, 修, 荒瀬, 透, 杉本, 到, 菊地, 正晃, 長谷川, 壽彦, 杉森, 光子, 藤野, 明浩, 西, 明 and 牧野, 俊一

栃木県産婦人科医報 30 （ 2 ） 149 - 151 2003年10月

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25歳(1経妊0経産).妊娠32週の検診まで異常はなく,妊娠35週2日の胎児超音波検査にて羊水過多は認めなかったが,腸管内径15.5mmより消化管の狭窄・閉鎖を疑い精査した.妊娠36週1日の超音波検査において拡張腸管内部はecohgenic,腸管内径は25.6mmと増大し,小腸閉塞に特徴的なmultiple bubble signを認めなかったが,妊娠37週1日の拡張腸管径は33mmとさらに増大し,multiple bubble signと拡張腸管の蠕動運動亢進を認めたことより小腸閉塞を強く疑った.自然陣発から分娩促進を行い正常分娩となったが,高度羊水混濁を認め,胎便吸引症候群疑いおよび消化管閉塞疑いにて小児科入院となった.注腸造影検査施行の結果,microcolonを認め,空腸閉鎖症にて緊急手術が施行された.胎児超音波検査による腸管閉塞部位の診断は困難なことが多いが,拡張腸管の蠕動運動の観察が有効であると考えられた

生体肝移植術後サイトメガロウイルス,EBウイルス感染症の早期診断におけるReal-time PCR法の有用性の検討

篠田, 昌宏, 若林, 剛, 島津, 元秀, 星野, 健, 田辺, 稔, 藤野, 明浩, 森川, 康英 and 北島, 政樹

移植 37 （ 5 ） 198 - 206 2002年10月

ISSN  0578-7947

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1995年4月から2002年4月迄に生体肝移植を施行した患者54例中,CMVのR-PCRを施行した23例(222検体),EBVのR-PCRを施行した12例(82検体)を対象に,AG,ISHの測定結果と比較検討した.免疫抑制剤は原則としてメチルプレドニゾロンとFK-506を用いたが,経過によりアザチオプリンも併用した.感染予防として免疫グロブリンを週1回1ヵ月投与した.CMVに対するR-PCR法は単発的に偽陽性となる可能性もあるが,AG法に比べより早期にウイルスの複製を検出でき,臨床症状を反映した定量性を発揮し,臨床的価値は極めて高いと考えられた.EBVに対するR-PCR法はEBV感染前には単核球中にISHより高感度で臨床症状との相関も比較的良好であり有用性が示唆されたが,EBV既感染と思われる症例では臨床症状との相関は薄く,単核球中EBVの検出が必ずしもウイルスの活動性を反映しているとは考えられなかった

診断に難渋した腹腔内腫瘤の1例

羽藤, 晋, 星野, 健, 下島, 直樹, 藤野, 明浩, 渡辺, 稔彦 and 森川, 康英

日本小児外科学会雑誌 38 （ 1 ） 155 - 156 2002年02月

ISSN  0288-609X

生体肝移植後ネオーラル使用にて重篤な中枢神経障害をきたした1例

渋谷慎太郎，島津元秀，若林剛，星野健，田辺稔，河地茂行，吉田昌，首村智久，関博章，長崎和仁，藤野明浩，松井芳夫，村山剛也，渡辺稔彦，下島直樹，橋本健夫，阿部雄太，金田宗久，城戸啓，新谷恒弘，羽藤晋，林田哲，八木洋，松本賢治，森川康英，北島政樹

今日の移植 15 （ 1 ） 116-117 2002年01月

研究論文（学術雑誌）, 共著

移植肝はどこまで代謝を改善できるか?　生体部分肝移植後の成長発育について

星野, 健, 羽藤, 晋, 下島, 直樹, 渡辺, 稔彦, 藤野, 明浩, 田辺, 稔, 若林, 剛, 島津, 元秀, 森川, 康英 and 北島, 政樹

日本小児外科学会雑誌 37 （ 6 ） 887 - 888 2001年10月

ISSN  0288-609X

小児劇症肝炎に対する生体肝部分移植の経験

渡辺, 稔彦, 星野, 健, 島津, 元秀, 若林, 剛, 田辺, 稔, 藤野, 明浩, 首村, 智久, 篠田, 昌宏, 亀井, 秀策, 浦上, 秀次郎 and 他

慶應医学 77 （ 6 ） 326 - 327 2000年11月

ISSN  0368-5179

【小児急性虫垂炎へのアプローチ】　Laparoscopic interval appendectomy　腫瘤形成性虫垂炎に対するアプローチ

藤野, 明浩, 森川, 康英, 星野, 健, 渡辺, 稔彦, 下島, 直樹, 横山, 穣太郎 and 北島, 政樹

小児科 41 （ 10 ） 1705 - 1711 2000年09月

ISSN  0037-4121

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抗生剤投与等により初期の急性炎症期を経過し,腹腔内に限局した膿瘍を含む腫瘤を形成した状態の虫垂炎に対する治療の第一選択は,一期的手術を避け,保存的治療を行い,急性炎症が軽快した後に待期的に根治術を施行する中間期虫垂切除である.その利点は手術操作の簡便さと合併症の減少である.小児の虫垂炎に対する腹腔鏡下根治術は,その低侵襲性と様々な利点から急速に普及しつつあるが,急性期の腹腔内膿瘍形成例においては開腹術式への変換を余儀なくされる例もあり困難を伴うことが多い.中間期虫垂切除は炎症の消退を待って行われることから,急性期には困難な症例に対しても腹腔鏡下手術を安全に適用することが可能となる

多発性胆管過誤腫の1例

藤野, 明浩, 石塚, 裕人, 伊東, 英輔, 隈元, 雄介, 原, 彰男 and 牛島, 康栄

医療 54 （ 8 ） 375 - 376 2000年08月

ISSN  0021-1699

人工筋肉を用いた排便ペースメーカー開発に関する研究

横山, 穣太郎, 平林, 健, 星野, 健, 森川, 康英, 渡辺, 稔彦, 藤野, 明浩 and 松藤, 凡

日本小児外科学会雑誌 36 （ 4 ） 843 - 844 2000年06月

ISSN  0288-609X

【小児慢性便秘の病態と治療】　慢性便秘の病態生理

横山, 穣太郎, 松藤, 凡, 森川, 康英, 星野, 健, 藤野, 明浩 and 渡辺, 稔彦

小児外科 32 （ 3 ） 243 - 250 2000年03月

ISSN  0385-6313

【小児悪性腫瘍に対する内視鏡下手術】　IVs神経芽腫に対する後腹膜アプローチによる内視鏡下生検

森川, 康英, 横山, 穣太郎, 星野, 健, 藤野, 明浩, 渡邊, 稔彦 and 北島, 政樹

日本内視鏡外科学会雑誌 4 （ 6 ） 510 - 514 1999年12月

ISSN  1344-6703

【新生児の全て】　外科　Hirschsprung病

横山, 穣太郎, 松藤, 凡, 森川, 康英, 星野, 健, 藤野, 明浩 and 渡辺, 稔彦

小児科診療 62 （ 11 ） 1812 - 1820 1999年11月

ISSN  0386-9806

肝嚢胞内容液の腫瘍マーカーに関する検討

竹中, 能文, 藤野, 明浩, 高橋, 常浩 and 他

栃木県医学会々誌 28   19 - 22 1998年06月

ISSN  0285-6387

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1)単純性肝嚢胞では嚢胞内容液CEAが,4桁を示すことはなかったが,良・悪性腫瘍の判断には役立たなかった.血中CEAは,嚢胞内容液濃度を反映せず,悪性でも高値とはならなかった. 2)嚢胞内容液CA19-9値については,単純性,良・悪性腫瘍性嚢胞の間に,有意差を認めなかった.血中CA19-9は嚢胞内容液値と相関しており,したがって悪性のものが高値となるとは限らなかった. 3)転移性悪性腫瘍性嚢胞で,嚢胞内容液の生化学的データ(LDH,ALP)が血清値に比し,高値を示す例を認めた. 4)嚢胞内容液のCEA,CA19-9,生化学データが単純性肝嚢胞と変わらない腫瘍性嚢胞もあり,臨床経過,画像所見を見た上で診断していく必要がある