論文 - 奥出　直人

論理的ディスコースのダイナミズム(思考のエンジン―Writing on Computer〔5〕)

現代思想 17巻 （ 6号 ） 8-15 1989年05月

単著

マイアミ・リゾート・パラダイス　

is 1989年03月

単著

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19世紀アメリカの上流階級とその他の階級はそれぞれ「自然と接する魂の救済地」「楽しさや快楽、階級の障壁を取り払ってくれるパラダイス」として互いに矛盾した欲望をリゾートに対して持っていた。両者を統合したのが「マイアミ」という消費のパラダイスイメージを巧みに取り込んだ文化装置であった。ニューポートからマイアミに至るリゾートの文化史によって、この文化装置のシステムを解明する。 　　　

石、スチール、そしてジャズール・コルビュジェとアメリカ　

ユリイカ臨時増刊　ル・コルビュジェ 20巻 （ 15号 ） 54-65 1988年11月

単著

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１９３５年にコルビュジェはアメリカを訪問した。彼の残したアメリカの観察記録と意見を当時のアメリカ社会の文化・生活のコンテキストに照らし合わせて、比較文化的な視点から解読すると、人間が都市や社会をデザインするにあたり、モダニズムの都市計画を本当に有効なものにするためには、伝統的なデザインとテクノロジーにもとづくデザインを有機的に連結する必要があり、そのためには文化の理解が不可欠なことがよく分かる。

消費社会の綱渡り　ヤッピー生活誌としてのリテラシ・ジャーナリズム

ユリイカ 20巻 （ 13号 ） 180-191 1988年11月

単著

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リテラシー・ジャーナリズムの中でも目ざましい業績を挙げているトム・ウルフ、ジョン・マクフィー、トレイシー・キダーの仕事を紹介し、彼らの技法を分析する。現在のアメリカがもっとも注目されているヤッピーとよばれる進行のアッパー・ミドルクラスの生活文化をこうした作家達はどの様に記述し、理解しているのかの検討から、産業社会以降の消費社会（あるいは情報社会）における日常生活の構造とはなにかについて考える。

1893年シカゴ博のミッドウェイ――ファ-ストフ-ド・レストランのデザインの文化史的起源

アメリカ研究 (アメリカ学会) 世紀末<特集> 22巻   89-123 1988年03月

単著

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マクドナルドを代表とする現在のファーストレストランは過剰なまでのセンセーショナルな広告塔と徹底的に合理化された調理場との結合である。消費を煽る欲望の看板をまとったこの種類の建物が初めて登場したのは１８９３年のシカゴ万国博での、ミッドウェイと呼ばれた一連の商業建築でのことである。１９２０年代にはアイスクリームチェーンが看板建築を採用し、１９５０年代にはマクドナルドが登場する。 　

パーソナル・データベース・マネージメント・システムと人工知能―あるいは、お気にいりのノートとカードをコンピュータを使って管理する方法について

月刊アドバタイジング (特集・データベース小論―おいしいデータベースのつくり方) 33巻 （ 2号 ） 36-39 1988年02月

単著

マクドナルドに学べ－２つのポストモダニズム

ユリイカ　 19巻 （ 13号 ） 212-219 1987年12月

単著

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マクドナルドのレストランのデザインは７０年代に変わり始め、町並みの景観を乱さないようなデザインを採用していく。過剰な消費欲望の刺激を抑制しながらも、合理的な生産システムとしてレストランを運営する方法は継続された。マクドナルドのこの選択は伝統回帰を主張する保守的なポストモダニズムとも、アナーキーな記号の差異の戯れを肯定するポストモダニズムを認める立場とも異なる懸命な選択であった。 　　　　　

黒人イメージ再発見－ステレオタイプのアメリカ文化史　

中央公論　　 102巻 （ 14号 ） 164-181 1987年12月

単著

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アメリカ黒人のステレオタイプには未開か西洋かぶれの黒人イメージの二つがある。１９世紀半ばから黒人の芸術家の知識人たちは自分たちの自己表現をするときに、どちらかのステレオタイプの仮面を被って演技せざるを得なかった。このことを念頭に彼らの業績を改めて分析すると、アメリカの黒人は自分たちの伝統文化の延長として、「西洋（白人）化」では なく、自分たちなりの近代化を試みていたことが分かる。 　　　

トランス・ナショナル・アメリカ－未完のプロジェクト：アメリカ的モダニズムの文化史　　

ＧＳ　 6巻   290-311 1987年11月

単著

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１９２０年代のアメリカはコスモポリタニズムにあふれる時代であった。ところが、１９３０年代はうってかわって保守的なナショナリズムが支配する。「アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ」の言葉が登場したのもこの時期である。３０年代に生じた文化の変化を、ライフ・スタイル、音楽、産業デザイン、文学、建築など、多方面にわたり分析し、モダニズムの延長と見なされている消費社会の文化的、思想的萌芽を明確にする。

日常生活のノンフィクション、エイジー・ウルフ・マクフィー

ユリイカ 19巻 （ 11号 ） 212-219 1987年10月

単著

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現代のアメリカの中産階級の生活誌を記述し、「文化人類学」的業績をあげているのは、社会学者や人類学者ではなく、一部のノンフィクション作家たちである。綿密な調査と日常生活を分析する鋭利な視野の共存しているこのジャンルの作家は「リテラシー・ジャーナリスト」と呼ばれるが、日本ではあまり知られていない。彼らの業績と手法の意義を紹介し、アメリカの生活誌研究の歴史と現状を報告する。

アメリカンサプライムの誕生-ナイアガラ、巡礼から新婚旅行

ユリイカ 19巻 （ 9号 ） 95-105 1987年08月

単著

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ナイアガラの滝はもともと宗教的な霊地であった。山奥にある巨大な滝を見て人々は崇高な（サプライムなど）体験を味わい、感動したのである。19世紀にはいると、宗教的な動機とは別に、この感動を求めて人々はナイアガラに行くようになる。感動を得るために、テクノロジーが使用され展望台が工夫された。19世紀後半になると、人工的な感動の再生を新婚旅行のドラマに盛り込む商売が成立し、巡礼は新婚旅行と変貌する。

テレビの中の黒人たち

ユリイカ臨時増刊-アメリカン・カルチュア・マップ    278-284 1987年06月

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1980年代になって、アメリカの黒人ははじめてステレオタイプを強要されることなく自己表現を行う機会をマスメディアの中に見いだす。中でも、全米ネットワークで放送されている「コスビー・ショウ」は中産階級の黒人を主人公とするファミリー・ドラマでありながら視聴率が５０％をこえ、多くの白人も抵抗無く見ている。アメリカの文化に生じたこの大変化をこのテレビドラマで紹介し、ストーリーを分析しながら考える。

ビデオ・アートの文化史

ユリイカ 19巻 （ 6号 ） 190-199 1987年06月

単著

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1960年代に新しい近くのメディアとして登場したビデオ・アートがビデオ・テクノロジーを使って既成のアートのようなものを表現しようとした時代から、ビデオを新しいメディアと考え、それにふさわしい「芸術」表現を見いだそうとするまでの歴史を概観する。ビデオ信号の機械的な処理から、コンピュータ・グラフィックスまでのテクノロジーの進歩の歴史を何人かの作家達を中心とする「文化史」として記述した。

アメリカ美人のイコノロジー：シオンの娘からマリリン・モンローまで（イメージ記号論分析による文化史の試み）　

季刊へるめす 創刊２周年記念別冊    96-116 1987年02月

単著

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１７世紀からアメリカには女性の肖像画が残っている。このイメージを髪の家の色（金髪と黒髪）、身体の大きさ（小柄と大柄）の記号に分割し２０世紀のマリリンモンローまで並べると、女性の概念のみならず、家族、政治、社会にいたるまで様々な分野にわたって、宗教的世界に生きていたアメリカ人が啓蒙の時代を過ぎて、初期資本主義社会、そして消費社会に暮らすようになるとき体験した複雑な変動を分析することが出来る。

アバンダンスの文化

季刊へるめす  （ 7号 ） 187-189 1986年06月

単著

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現代アメリカの文化の特質を「過剰なまでの豊かさ（アバンダンス）の文化」とよんだアメリカ文化史家ウォーレン・サスマンの仕事を紹介しながら、サラリーで暮らす大学卒の中流階級で、郊外住宅地に住み、自動車に乗り、マスメディアに影響され、友達付き合いを重視する人たちの文化がアメリカに成立した30年代と現在同様の文化が成立しつつある日本の80年代について考える。

アダムとフラッパー：現代アメリカ若者礼賛文化の起源

海外事情(拓殖大学海外事情研究所)    18-35 1986年02月

単著

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１９２０年代のアメリカの大学は巨大企業の勃興によるホワイト・カラー職の需要の増大に答えるため上流階級の子弟が教養を高める場所から、野心のあるものが専門職につくための機関へと変化する。新しく大学に入った学生たちは教授から学問や教養を学ぶだけではなく、学生友愛界に所属して友達と遊ぶことに忙しかった。こうしたピア・グループの活動の中から若者礼賛文化をもとにするアメリカの生活様式が生まれたのである。 　

文化装置としてのハリウッド - レーガン大統領を支えるイメージの喚起力

アサヒグラフ増刊：ハリウッド　1982〜1985    180-189 1985年09月

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1984年の大統領選挙において、レーガン陣営にキャンペーンがモンデール陣営からフェアではないと批判された。なぜならアメリカがもっとも繁栄していた1950年代の幸せな生活文化を視聴者に強烈なイメージとして植え付けるよう、レーガン夫妻は演技をしていたからである。そこで議論された「豊かなアメリカ的な生活」のイメージを生成する装置は、ハリウッドが戦前から開発してきたものだったのである。

ミシシッピーの旅から　-「奴隷」の文化を肯定し始めたアメリカ

朝日ジャーナル    28-33 1985年04月

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ミシシッピー州に黒人だけの小さな街がある。奴隷解放後すぐに、強力な黒人リーダーにひきいられ発足した。その街での調査談。単に社会・経済・政治的な平等を求める運動から、アメリカ社会の中の黒人の位置づけを模索する動きが見え始めていた。奴隷時代から続く大地に根をはった生活文化が民俗学によって丹念に集められ、黒人たち自身がこれこそが生活のよりどころになるのだと発見しつつあった。

ニュ-オリンズ都市黒人コミュニティの崩壊――1960年代アメリカ改革精神の再検討

アメリカ研究 (アメリカ学会) 1960年代<特集>  （ 19号 ） 81-103 1985年

単著

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第二次世界大戦後、急速な郊外住宅地の開発によって都市中心部が荒廃したアメリカは６０年代にはいると、都市再開発計画を行ってこの問題を解決しようとした。さらに、景観を含めた自然資源のみならず、歴史的建物のような文化資源の保護も都市計画の重大な問題となった。この論文は都市計画をめぐるこうした動きが、結果として古くからあったコミュニティを崩壊させてしまった過程を、意志決定を行った当事者の資料等を中心に分析した。