論文 - 前田　富士男

パウル・クレーと色彩論

『美学』（美学会）  （ 133号 ） 24-38 1985年03月

単著, 査読有り

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クレーの色彩論の特徴はその体系的秩序ならびに動的な関係性の把握にあり、それはとりわけ色彩球という秩序づけに集約されている。また物質としての絵画を生動化させる意味で、有機的色彩観が認められる点を詩的した。

Ｗ・ヘヒト『素描画家としてのゲーテ』

高橋義人・相良謙一(350p)

国際文化出版社 1984年09月

共著

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ゲーテの素描作品を集成した研究書。共同して訳出した。

モティーフの所在

『文部省科研費単行報告書』    24-34 1983年03月

単著

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モティーフは美術史学の基礎をなす概念だが、検討が未だ十分とは言いがたい。パノフスキー、ヴェルフリン、パウルソンなどにこの概念の用法をあとづけ、プロット的展開の動向と表出に重要な契機を認めた。

研究ノート・クレー／文字／エンブレーム

『美術手帖』(美術出版社)  （ 483号 ） 30-31 1982年09月

単著

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エンブレームとは17世紀ヨーロッパに流行した寓意なぞ解きの図像で、古典古代のイメージに関係する知的な伝統を指す。ここではクレーの初期版画作品にみられる図と銘記的作品名との関係をエンブレーム的表現法として解釈した。

ゲーテ『自然と象徴──自然科学論集』

高橋義人

冨山房    251-345 1982年03月

共著

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ゲーテの厖大な自然科学論のアンソロジーで、色彩論部分を担当し、編訳の形式。観点と方法、色彩の成立、法則、絵画と色彩、などに分けて構成した。ほかに用語解説も分担。

近代絵画空間と赤

『アニマ』(平凡社)  （ 9月号 ） 30-38 1981年09月

単著

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赤という色彩は発言力のつよい色だが、その意味を近代における「絵画表現という次元から論及した。とくにメキシコ絵画における赤の用法を紹介、検討した。

サン・ジェルマンのパウル・クレー

『みずゑ』(美術出版社)  （ 921号 ） 50-60 1981年09月

単著

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1914年のクレーのテュニジア旅行は画家の生涯において決定的な転換をもたらした。旅行中の水彩画が日本にて展覧されるのを機に、その意味と特徴を論じた。

モティーフ・トポス・類型

『文部省科研費単行報告書』（慶應義塾大学）    6-11 1981年03月

単著

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クルティウスの提唱したトポス概念と類型論の関連、ならびにモティーフ概念など美術史学研究の基本概念を検討して、イコノグラフィー、イコノロジーの意味を明確化した。様式概念との連関も視野におさめた。

オマージュの空間──画家のアトリエをめぐって

『文部省科研費単行報告書』（慶應義塾大学）    30-36 1981年03月

単著

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アトリエにいる画家のイメージは、オマージュからパロディまで多種多様である。メンツェルの作品を中心に19世紀から現代にかけての芸術家像の変遷を検討した。

E・オルランディ『アルトドルファー』

海津忠雄

評論社 1980年09月

共著

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ドイツ・ルネサンスの画家アルトドルファーの単行研究書。すべて共訳。(198pp)

ゲーテ『ゲーテ全集題１４巻・自然科学論』

木村直司・野村一郎・高橋義人・永野藤夫・轡田収

潮出版社    39-50 1980年05月

共著

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ゲーテの自然科学の方法論を明確に論じた『形態学誌』序説の「計画の動機」、「研究の意図」、「内容の紹介」を訳出した。

アトリエの不在者

『文部省科研費単行報告書』（慶應義塾大学）    1-31 1980年03月

単著

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クレーの作品＜ゲルストホーフェンを記念して＞の自画像的意味に「小房のヒエロニムス」という伝統的主題を探った。ミリューとしての静的な空間という枠主題が解釈に要請されることを主張する。

眼――パウル・クレーにおける記号と形態

『美学』（美学会）  （ 114号 ） 53-68 1978年09月

単著, 査読有り

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クレーの絵画にみられる記号的フォルムの特質は、とくに形態概念との対比から理解されねばならない。クレーの作品にしばしば登場する「眼」の記号を、神の眼、相貌を示す眼、人間存在としての眼という三つの側面から追究した。

自然研究への道――クレーとゲーテ

『ゲーテ年鑑』（日本ゲーテ協会） 18巻   89-108 1976年09月

単著, 査読有り

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クレーの造形観がゲーテの形態学と近い点をゲーテの自然科学論集、とくに植物学研究と比較して、論証した。分極性と高昇はゲーテの基本概念だが、同一のとらえ方がクレーに指摘できる。生成を本質とみなしたクレーのフォルム観はこのドイツ的な伝統を継承している。

Die Vereinigung der matｈｅmatischen und organischen Bildsprache

Zeitschrift fuer Aesthetik und allgemeine Kunstwissenschaft Bd.25/2   185-202 1975年10月

単著, 査読有り

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画家クレーにおける幾何学的フォルムと生命的フォルムの統合を論じた。反復的フォルムから次第に個体化する道筋を歩んで、造形は「生起」という過程のイメージを具現してゆく。クレー絵画の有機体的作品概念を「分節」を焦点に明確化した。

パウル・クレーにおける「分節」概念の成立

前田　富士男

哲学 （慶應義塾大学三田哲学会）  62   55 - 82 1974年03月

研究論文（学術雑誌）, 単著, 査読有り

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画家パウル・クレーの造形思考の根本をかれのバウハウス時代の手稿にあとづけ、部分単位の反復的構造から個体化、有機化への過程として明確化した。分節という概念がとくにクレーの場合には核心をなす。生命的フォルムの類比としての造形は、近代絵画における重要な流れで、ゲーテ的な伝統を示す。