論文 - 前田　富士男

なめらかな移行・うかびあがる運動──西洋絵画における色彩調和論

日本色彩学会誌 （日本色彩学会）  Vol.25 （ 4 ） 278-282 2001年12月

研究論文（学術雑誌）, 単著, 査読有り

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色彩調和は一般に固定した複数の色彩間の関係と理解されがちである。しかし、１８世紀ヨーロッパのゲーテやズルツァーほかの色彩論では、色相間のなめらかな移行および浮かびあがる運動という二種類の動性が調和の要因とみなされている。調和論で看過されがちが問題を明確に示した。

Die Ordnung der Farben als Konstellation

Symposium, West-ostlicher Divan,(Protokoll vom Symposium 1999), Goethe Institut, Munchen 2001.    150-157 2001年04月

単著

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ゲーテ生誕２５０年記念の一環として1999年3月にヴァイマルで開催されたシンポジウムでの発表論考。ゲーテの色彩論が明暗論としての意味をもつことを、一種の近代色彩論の特性とみなし、同時代の日本絵画との比較などから論じた。

ファクシミリと体験／理解──ディルタイの時代における美術史学の一側面

『ディルタイとその時代』(法政大学出版局)    112-134 2001年02月

単著

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美術史家ヴェルフリンを手がかりに、19世紀後半から20世紀にかけての、原作品体験とそのファクシミリ（複製版画）もしくは写真による理解の位相を論じた。

写真の福澤諭吉──テクノコードと多文化主義

『世紀をつらぬく福澤諭吉──没後100年記念──』展カタログ（慶應義塾）    81-82 2001年01月

単著

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１８６２年に福澤諭吉がヨーロッパを訪問したとき、写真という近代的テクノコード・メディアがまさにパリを中心に成立しつつあった。写真撮影を愛好した福澤諭吉は、このメディアの特性を認識しつつ、個と大衆のおりなす近代社会の意味を鋭く分析していたと思われる。

芸術的制作行為の再構築──『土方巽アーカイヴ』と研究アーカイヴ・システム

科学研究費補助金（COE形成基礎研究費）研究報告書『＜バラ色ダンス＞のイコノロジー──土方巽を再構築する』（慶應義塾大学）    34-35 2000年12月

単著

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研究アーカイヴはたんなる資料整理の機関ではなく、創造的な営みを解明するための文化装置にほかならない。本論は、アーカイヴ・デザインの理念と方法を論じる。

色彩論の変遷──ゲーテからカッツまで

『美術手帖』「特集現代色彩事典」（美術出版社）  （ 788号 ） 110-116 2000年06月

単著

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西洋における色彩論の歴史を絵画表現との関連をみる立場から概観した。とくに、色の「見え方」、カッツのいう「面色」と近代絵画との関係を重視した。

ジェネティック・アーカイヴ・エンジン

前田　富士男

創造的ディジタルメディアの基礎と応用に関する研究 1998 （慶應義塾大学SFC研究所 / ディジタルメディア基盤・応用研究センター）     383 - 391 2000年06月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 共著

アート・ドキュメンテーションの可能性

前田　富士男

『美術情報の明日を考える──第2回アート・ドキュメンテーション研究フォーラム/報告書』 （アート・ドキュメンテーション学会）     137 - 157 2000年03月

研究論文（学術雑誌）, 共著, 査読有り

バウハウスにおける色彩論的転回--コントラスト・グラデーション・コンステレーション

『バウハウス展図録』（宇都宮市立美術館）    96-99 2000年03月

単著

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バウハウスの色彩論は現在でも個別研究にとどまるが、ここでは全体的特性として、現象学的な知覚体験の開発として色彩が取り上げられたことを強調した。とくにコントラストの時間性やグラデーションの空間性は、新しい絵画平面を提示した点を解明した。

アーカイヴと生成論（Genetics）--「新しさ」と「似ていること」の解読にむけて

『アーカイヴ』ブックレット6号（慶應義塾大学アートセンター）    80-95 2000年03月

単著

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アーカイヴとは美術館や図書館と異なる知の空間である。本論では、その本質論として、知やイメージの根本をなす「斬新性」と「親和性」の認識を追究した。ゲーテ、フーコー、グロイス、ドゥルーズの思想を検証する。

絵画の導きとしてのエネルギー--クレーとゲーテ・再考

『思想』（岩波書店）  （ 906号 ） 123-145 1999年12月

単著, 査読有り

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クレーの造形論がゲーテの色彩論や同時代のエネルギー論に啓発され、光のエネルギーのメタモルフォーゼという観点を深化させたことを論じた。ゲシュタルト心理学、科学論の問題関心と照合して、とくに「絵画技術法」グループの役割を指摘した。

ゲーテ『色彩論・完訳版』

高橋義人・南大路振一・嶋田洋一郎・中島芳郎

工作舎    第１巻 331-603 別巻図版集　3-53 1999年12月

共著

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ゲーテの色彩論３部作は、原書刊行(1810)以来、ドイツ語版も刊行されず、また外国語翻訳版もなされなかった。本書は、世界初の刊行。とくに前田担当の「論争篇」はわが国でも初訳。ほかに前田が図版集を訳出した。(第１巻654p,第２巻700頁、別巻図版集64p)

再神話化そして間隔-- ヨーゼフ・ボイス＜君の傷を見せよ＞

『ヨーゼフ・ボイス―ハイパーテクストとしての芸術』ブックレット5号（慶應義塾大学アート・センター）    80-100 1999年12月

単著

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ボイスの作品を手がかりに、現代美術における神話の問題を再神話化と脱神話化の観点から究明した。神話が不可能な時代である現代にとって、神話との距離を根底におく存在論的状況が基礎となることを論述した。

『色彩論』論争篇解説

ゲーテ『色彩論・完訳版』第１巻（工作舎）    624-654 1999年12月

単著

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ゲーテの『色彩論』論争篇における反ニュートンの立場がけっして無謀な論争でなく、新しい知覚論であり、感性科学へのステップであったことを、論争篇の成立史とともに詳述した。

芸術の教育研究と「半構造」の視点

『大学時報』（日本私立大学連盟）  （ 267号 ）  1999年07月

単著

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大学における芸術研究と教育の制度の問題点を指摘し、よりゆるい「半構造」的視点を強調。ワークショップ的な触れあいとコミュニケーションのもつ特性を論じた。

ジェネティック・アーカイヴ・エンジン

前田　富士男

創造的ディジタルメディアの基礎と応用に関する研究 報告書 1998 （慶應義塾大学SFC研究所 / ディジタルメディア基盤・応用研究センター）     279 - 303 1999年06月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 共著

結晶としての作品--近代美術におけるポスト・コンポジション

『文部省科研費単行報告書・作品概念の史的展開に関する研究』（東京大学）    117-132 1998年03月

単著

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近代美術においてはコンポジションからコンストラクションへという造形思考の展開が重要である。実体的フォルムの再現から関係性の表現へという変革をマルクらの絵画論、結晶的建築論、生命科学の議論などからあとづけた。

谷口吉郎とイサム・ノグチ──慶應義塾大学第二研究室をめぐって

慶應義塾大学アート・センター    2-4 1997年09月

単著

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建築家谷口は戦後復興期の慶應義塾の再建を担当し、とくに三田第二研究室では来日中のイサム・ノグチに協力を要請し、「万来舎」と呼ばれる談話室をつくった。これはイサム・ノグチの空間デザインの傑作として知られる。本論では建築の推移、その美術史的意義を論じた。

パノフスキーの類型論（Typenlehre）

『芸術学』（三田芸術学会）  （ 1号 ） 48-56 1997年07月

単著, 査読有り

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パノフスキーの方法論はヴェルフリン的な様式分析に対立する意味論的分析とみなされている。しかし、その論考をあとづけると、興味深いことに、むしろ類型や相似、相同など形態学的な視点が明瞭に指摘できる。

自由と透明をめぐる 形態学--水彩画にみるヨーロッパ絵画の革新

「ドイツ・ウルム美術館所蔵作品展・紙と表現」図録（徳島県立近代美術館）    7-11 1996年10月

単著

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19世紀初頭に発展した水彩画は、地と図、明暗、にじみの時間性など、従来の油彩画にない造形感覚を要請した。これはセザンヌやカンディンスキー、クレーなどに共通する重要な絵画的可能性の追究であった。