論文 - 西山　佑司

自然言語の二つの基本構文：コピュラ文と存在文の意味をめぐって

『西洋精神史における言語観の諸相』（中川 純男 編 ）慶應義塾大学言語文化研究所    31-71 2002年03月

単著

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コピュラ文「ＡはＢである」 と存在文「A がある（いる）」は自然言語におけるもっとも基本的な構文として古来から注目されてきた。この論文では、これら二つの基本構文の多様な意味を確認したうえで、その意味構造に名詞句の指示性・非指示性という概念が決定的に効いていることを指摘し、この観点からして、「コピュラ文」と「存在文」とが意味的に深いレベルで密接に関わっていることを日本語を例にして明らかにする。

ウナギ文と措定文

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第33号   109-146 2001年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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「ぼくはウナギだ」のようないわゆるウナギ文を処理する方法として従来注目されてこなかったメトニミー説（語用論的マッピング説）をとりあげ、そこに潜む５つの問題点を指摘する。そして、ウナギ文を分析するにあたり、意味論と語用論を明確に区別することの重要性を指摘した上で、ウナギ文は倒置指定文ではなくむしろ措定文の一種であるとする仮説を提案する。

関連性理論

『ことばの認知科学事典』（辻幸夫編） （大修館書店）  2001年07月

単著

倒置指定文と有題文

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第３2号   71-120 2000年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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日本語文法論では、ある文が有題文であるか無題文であるかは重要である。そして「は」の機能は主題を表すことである、とみなされてきた。この論文では、「AはBだ」という構文にたいする倒置指定文の解釈に焦点をあて、この種の構文において、主題と呼ぶべきものが存在するかどうか、という問題を論じる。この議論を手がかりにして、＜「は」は主題を表す＞とする日本語文法論における信念が誤りであることを示す。

Keio Studies in Theoretical LinguisticsⅡ

Institute of Cultural & Linguistic Studies （Keio University）  2000年02月

単著

二つのタイプの指定文

『日本語　意味と文法の風景--国広哲弥教授古希記念文集』　 （ひつじ書房）     31-46 2000年02月

単著

Ambiguity of 'Speaker's Grammar'

Y. Nishiyama　ed., Keio Studies in Theoretical Linguistics II, Institute of Cultural & Linguistic Studies （Keio University）     123-159 2000年02月

単著

言語的意味と表意の接点：「伊丹十三監督の映画がだんだん面白くなってきた」の曖昧性をめぐって

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第３１号   185-207 1999年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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関連性理論では、文の意味、表意 (explicature)、推意 (implicature) を明確に区別する。しかし、個々の具体例については、複数の読みのいずれがその文固有の意味であるかそれとも表意もしくは推意であるかの判断は、しばしば困難である。この論文では、「たけしの映画がだんだん面白くなってきた」を例にして、とくに「文の言語的意味」と「表意」の区別がいかに難しいかという問題を考察する。

言語と生成文法にたいする解釈をめぐって：心理主義 対 言語実在論　　　

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第３０号   169-199 1998年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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言語および文法にたいする解釈として、今日、大きく対立するふたつの考え方がある。ひとつは、チョムスキーの心理主義的解釈であり、他はカッツらの言語実在論の解釈（プラトン主義的解釈）である。この論文では、両解釈の妥当性を比較検討する。とくに、最近のチョムスキーが、これまでの「穏健な心理主義」から「急進的な心理主義」へ移行させた点に注目する。

「話し手が知っている文法」の意味

『科学基礎論研究』 第９０号（Vol.25, No. 2）   7-13 1998年03月

単著, 査読有り

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「言語学者は、話し手が知っている文法を研究する」と言われるが、「話し手が知っいる文法」という表現は、指示的名詞句として解釈するか、変項名詞句として解釈するか曖昧である。さらに指示的名詞句として解釈したとしても、それをreferential use として読むか、attributive use として読むかによって異なった解釈が得られる。この議論を通して、文法にたいするChomsky の心理主義的解釈に内在する問題点を指摘する。

「NPが分かる」の曖昧性とコピュラ文 　

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第２９号   111-134 1997年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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この論文では、「コピュラ構文の多様な意味構造は非コピュラ文の意味構造にも密接に関連している」とする筆者の仮説を裏付けるさらなる例として、「NPが分かる」という構文をとりあげる。まず、この構文の意味の解明に、名詞句の指示性・非指示性を考慮したコピュラ構文の分析が直接寄与することを示す。この点の指摘を通して、動詞の意味分析にたいして、従来の方法とは根本的に異なるアプローチが必要であることを論じる。

関連性理論から見た意味論

『月刊 言語』 Vol.26. No.9 1997年09月

単著

Attributive Use and Non-referential NPs

M. Ukaji, T. Nakao, M. Kajita, and S. Chiba eds., Studies in English Linguistics : A Festschrift for Akira Ota on the Occasion of His Eightieth Birthday. （Taishukan Publishing Company）     752-767 1997年08月

単著

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Donnellan の導入した記述句のふたつの用法、referential use とattributive use の区別は重要なものであるが、attributive use は、筆者の言う「変項名詞句」としばしば（Donnellan をも含む）多くの論者によって混同されてきた。この論文では、「変項名詞句」という概念はあくまで意味論的なものであり、attributive use として用いられた名詞句とは本質的に異なることを論証する。

「Ａが増える」構文と変項名詞句

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』　　 第２８号   49-85 1996年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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「A が増える」という構文は曖昧であり、いくつか異なった解釈が可能である。第一に、Aの指示対象自体の内的変化ととらえる読みがある。第二に、Aを 変項名詞句とみなし、 変項に入る値が入れ替わるとらえる読みがある。第三に、一定の場所空間を占めるA の個数の変化ととらえる読みがある。これらの読みの内部特性を考察することによって、「A が増える」という構文と存在文・コピュラ文とのあいだの密接な関係を論じる。

Keio Studies in Theoretical Linguistics Ⅰ

大津由紀雄

Institute of Cultural & Linguistic Studies （Keio University）  1996年03月

共著

コピュラ文の意味と変化文の曖昧性について

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第２７号   133-157 1995年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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コピュラ文にすくなくとも「措定文」、「指定文」、「同定文」、「同一性文」の四つがあることを確認したあとで、「Aが変わる」や「Aを変える」という表現の曖昧性をAに登場する名詞句の指示性・非指示性の観点から論じる。そして、コピュラ文と変化文とのあいだに意味論的には、内的に密接な関係があることを論証する。

記号解釈と創造性：楽譜解釈と発話解釈を中心に

『記号学研究１５：記号の力学』（日本記号学会編）    99-110　 1995年04月

単著, 査読有り

「言外の意味」を捉える　

『月刊 言語』 Vol.24. No.4   30-39 1995年04月

単著

自然言語処理と関連性理」

『言語処理学会第１回年次大会発表論文集』    1-10 1995年03月

研究論文（研究会，シンポジウム資料等）, 単著

自然言語における文の長さについて：生成文法はどこで可能か

『科学基礎論研究』 第８３号（Vol.22. No.1.）   117-139 1994年12月

単著, 査読有り

日本語の存在文と変項名詞句

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第２６号   115-148　　 1994年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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日本語の存在文の多様な意味を、とくに主語名詞句に登場する名詞句の指示性・非指示性の観点から分析する。この分析を通して、日本語の存在文は「場所表現を伴う存在文」と「場所表現を伴わない存在文」とに大別できることを指摘する。次に、後者のタイプの存在文の主語が、「変項名詞句」と密接にかかわることを示す。

伝　康晴・三藤　博両氏のコメントに答える 　　

『認知科学』 Vol.1. No.2   90-94 1994年11月

単著, 査読有り

日本語の意味と思考：コピュラ文の意味と構造を手がかりに　

『日本語論』　　 Vol.2. No.5   70-93 1994年05月

単著

メンタルスペース理論におけるコピュラの分析はどこまで妥当か

『認知科学』 Vol.1. No.1   135-140 1994年05月

単著, 査読有り

コピュラの用法とメンタルスペース理論

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第２５号   49-82 1993年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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メンタルスペース理論を提唱するフォコニエ (Fauconnier) は、コピュラ動詞('be')には、(1) メトニミーを表すもの、 (2) あるメンタルスペースの 要素を別のメンタルスペースの要素に対応づける働きをするもの、(3) 役割(role)とその値(value)のあいだの結びつきを表すもの、という三つの用法がある、と主張した。筆者は、フォコニエ によるこの分析には基本的なところに重大な欠陥があることを論じる。

「ＮＰ1 の ＮＰ2」 と ”ＮＰ2 of ＮＰ1”

『日本語学』 Vol. 12   65-71 1993年10月

単著

関連性理論の問題点：コンテクスト効果と関連性

『英語青年』 ８月号 Vol.CXX XIX No.5   222-224 1993年08月

単著

デカルト派言語学

『言語論的転回』[岩波講座 現代思想４] （新田義弘他編） （岩波書店）     239-264 1993年06月

単著

言語学の最新情報（語用論）：関連性理論とアイロニー研究

『月刊 言語』 Vol.22. No.5   118-121 1993年05月

単著

「役割関数と変項名詞句 ：コピュラ文の分析をめぐって」

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第２４号   193-216 1992年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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Fauconnierらによって提唱されたメンタルスペース理論におけるもっとも重要な概念装置である「役割と値」はコピュラ文の意味解釈にとって本質的である、とされている。しかし、この論文で筆者は、メンタル・スペース理論のこの議論を批判し、コピュラ文の分析にとって本質的なのは、「役割―値」という概念装置ではなく、「変項名詞句」および「指示的名詞句」という概念の方であるという議論を展開する。

機能主義の潮流とプラグマティクスの発展

『月刊 言語』 Vol.21. No.6   48-55 1992年05月

単著

発話解釈と認知：関連性理論について

『認知科学ハンドブック』（安西祐一郎他編） （共立出版）  第２章 1992年02月

単著

「ＮＰ1 のＮＰ2」 の曖昧性について

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』　 第２３号   61-82 1991年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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日本語の「NP1のNP2」という表現は、意味論的には、NP1とNP2の関係からいって、[A] NP1が、NP2にたいするパラミターを設定するばあい、[B] NP1が、複数個のNP2の指示対象のなかからひとつを選択するための限定詞・付加詞の機能を果たすばあい、[C] NP1が領域を表し、その領域のなかで、NP2の指示対象の断片を提示するばあい、という三つのタイプに区別できることを論証する。

「カキ料理は広島が本場だ」構文について ： 飽和名詞句と非飽和名詞句 　　　

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第２２号   169-188 1990年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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「カキ料理は、広島が本場だ」 は、「広島が、カキ料理の本場だ」の「カキ料理の」を文頭に取りだす操作（「主題化」）によって派生されたものであると考えられる。しかし、この種の主題化操作は無制限におこなわれるものではなく、ある種の制約下にある。この論文では、「飽和名詞句」と「非飽和名詞句」という筆者独自の概念区別を導入することによって、この種の主題化操作にたいする制約を解明する。

コミュニケーション能力と関連性

『応用言語学の研究』（JACET 応用言語学研究会編 ) 第３部１章 （リーベル出版）     52-64. 1990年09月

単著

コピュラ文における名詞句の解釈をめぐって　

『文法と意味の間：国広哲弥 教授還暦退官記念論文集』 （くろしお出版）     133-148 1990年06月

研究論文（研究会，シンポジウム資料等）, 単著

「象は鼻が長い」構文について　　　 　

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 　　 第２１号   107-133 1989年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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コピュラ文における指定文・措定文の区別という観点から、「象は鼻が長い」および関連する構文を考察する。まず、「象は鼻が長い」型の構文は、二通りの解釈が可能であることを論じる。次に、この構文を「象の鼻が長い」や「象が鼻が長い」から派生しようとしてきた従来のアプローチは不備であることを指摘する。さらに、「ＡはＢがＣだ」という構文のもつＡとＢとの関係について論じ、独自の仮説を提示する。

指示的名詞句と非指示的名詞句

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第２０号   115-136 1988年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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名詞句の非指示的機能と指示的機能に着目した意味論的分析。「洋子が住んでいる町が変わる」に典型的にあらわれる曖昧性に注目し、この曖昧性が主語名詞句の指示性に起因するものであることを指摘する。そして、「変項名詞句」という独自の概念を導入し、それが変化文ばかりでなく、潜伏疑問文やコピュラ文の分析にも適用可能であることを論証する。

Ｅ─言語からＩ─言語への移行をめぐって

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第１９号　   105-132 1987年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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Chomsky の導入した「E-言語」と「I-言語」の区別について論じる。文法がI-言語についての理論であることを正当化するためにChomskyがいかなる議論を構築したかを詳細に検討し、批判する。この議論を通して、理論言語学は、認知科学や人間の生物学に還元されえないことを論証する。

言語規約的含意にたいする再解釈

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 　　　 第１８号   141-159 1986年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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「言語規約的含意」(conventional implicature) という概念の言語理論的位置づけを試み、の概念にたいする新しい解釈を提示する。この概念は、「前提」(presupposition)や「会話の含意」(conversational implicature) からはっきりと区別されるべきことを指摘し、自然言語の妥当な意味理論はこの概念を処理できるような非真理条件的意味論を一部に含む必要があること論じる。

自然言語における推論：非真理条件的意味論の観点から

『法律エキスパートシステムの基礎』（吉野一編）第５章第３節 （ぎょうせい出版）     215-227 1986年10月

単著

措定文・指定文・同定文の区別をめぐって　

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第１７号   135-165 1985年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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「措定」「指定」という概念を規定した上で、「AハBダ」というコピュラ文のもつ曖昧性を、「BガAダ」との関係で論じる。さらに、(I)「AハBダ」という形の倒置指定文は、それ自体二義的であり、その一つは必ず主格倒置指定文であること、(ii)指定文と倒置指定文とは同一の基底構造から導くべきでないこと、（iii)「措定文」「指定文」とは別に「同定文」というカテゴリーが必要であること、などを指摘する。

談話文法は可能か

上林洋二

『明確で論理的な日本語の表現』 （科学研究費研究報告：研究代表者 井上和子）    29-52 1985年03月

共著

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「談話文法」なる考え方にたいする批判的考察。とくに、「ハ」と「ガ」をめぐる現象を説明するために打ちたてられた談話文法上の原則や規則が言語理論全体のなかで適切に位置づけられていないということを指摘する。

文法に対する解釈をめぐって

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第１６号   163-184 1984年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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生成文法にたいするチョムスキーの心理主義的解釈、つまり「言語Lの生成文法は、Lの理想的な話し手・聞き手が精神のうちに内在している言語的知識についての理論であり、それは本質的に心理学的理論である」とする解釈の妥当性を検討し、そこに潜む問題点を指摘する。

言語学は認知科学の一分野か　

『理想』 No.617   349-359 1984年10月

単著

Noam Chomsky 著　『ことばと認識』

井上和子、神尾昭雄

大修館書店    299 1984年04月

共著

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N. Chomsky の名著 Rules and Representations, New York: Columbia University Press, 1980, 299 pp. の翻訳。

語用理論における関連性：Wilson & Sperber のアプローチをめぐって 　　

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第１５号　   161-182 1983年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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Wilson & Sperber の関連性理論(Relevance Theory) をとりあげ、このモデルの中心概念である「関連性」(relevance) に焦点をあててその妥当性を論じる。この概念が説明力を有することを認めた上で、質問－応答のような発話間に見られる「関連性」をうまく捉えることができない事実を指摘し、Wilson & Sperber の関連性とはまったく別のタイプの関連の概念が語用理論において必要であることを論証する。

「言語の構造(1)」「 言語の構造(2)」「言語と論理」「発話の解釈と推論」

『コミュニケーションと言語』（沢田允茂編）第７,８,９,１０章、 （旺文社）     80-128 1983年11月

単著

Two Types of Entailment

K. Inoue, E. Kobayashi, and R. Linde eds. Issues in Syntax and Semantics : Festschrift for Masatake Muraki. （Sansyusya）     165-181 1983年09月

単著

分析性をめぐって─言語学的意味論の観点から─　　

『哲学』　 （日本哲学会）  No. 33   73-90 1983年05月

単著, 査読有り

アイロニーの言語学　

『理想』 No.598   2-15 1983年02月

単著

語用論的前提をめぐって　　　

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第１４号 　   81-105 1982年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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自然言語における「前提」(presupposition) と呼ばれている現象はいったい何を意味するのかという問題を、語用論的アプローチに焦点をあてて論じる。とくに、「語用論的前提」という概念が三通りに解釈できること、そのいずれの解釈をとっても前提現象をうまく処理できないこと、前提現象にたいする「会話の含意」(conversational implicature) による説明が不適切であること、などを論じる。

語用論的含意

『新版　ことばの哲学』（坂本百大編） （北樹出版）  第４部 第３章   244-260 1982年12月

単著

Decompositional Approach vs. Inferential Approach

ロンドン大学 (University college ) 音声・言語学科談話会 1982年05月

単著

遂行分析について

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第１３号   137-157 1981年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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あらゆる文の基底構造に１人称主語、２人称間接目的語、遂行動詞(performative verb)からなる遂行節を想定しようとするアプローチ（「遂行分析」）は、生成意味論の枠組みにおいて広く受け入れられている興味深い仮説であるが、その分析には、統語論的および意味論的な重大な難点あり、問題が多いことを指摘する。

Arguments against Meaning Postulates

ロンドン大学 (University college ) 音声・言語学科談話会 1981年11月

単著

前提の投影問題について

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第１２号   67-96 1980年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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複文の前提(presupposition) は、その文を構成している補文がそれぞれ単独でもつ前提からいかに決定されるか、という「前提の投影問題」を論じる。この問題にたいする初期の仮説、Langendoen & Savin の累積仮説、Karttunen の述語三分類説、といった従来の仮説をひとつずつ検証し、その問題点を指摘する。そして、この問題にたいする筆者の仮説を提案する。

新情報・旧情報という概念について 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

『日本語の基本構造に関する理論的・実証的研究』（科学研究費研究報告：研究代表者 井上和子）    127-151 1980年07月

単著

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最近の言語学界においては、談話文法の立場から「新情報」「旧情報」という概念を武器にして言語現象の諸問題を解決しようとする試みがさかんであるが、この種の試みには，「旧情報」「新情報」という概念自体がきわめて曖昧で明確に規定されていないという難点があること、日本語の「ハ」と「ガ」の問題にとって、「旧情報」「新情報」という概念を用いたアプローチには原理的に限界があることを論証する。

意味公準と含意規則

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第１１号   91-114 1979年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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外延主義的思考法に基づく形式論理学は、自然言語に内在する論理のモデルという観点からすると多くの制限があることを示し、同じく外延主義の枠内で文の意味を処理しようとする「意味公準の体系」にも問題があることを論じる。そして、論理的推論が自然言語の構造といかにかかわるかを解明するためには、文と文とのあいだの意味関係を規定できる言語学的意味論が不可欠であるとする議論を展開する。

The Arguments against de Saussure's Notion of Linguistic Value

G. Bedell, E. Kobayashi, and M. Muraki eds. Explorations in Linguistics : Papers in Honor of Kazuko Inoue, （Kenkyusha）     393-414 1979年06月

単著

Noam Chomsky 著　『言語論』

井上和子、神尾昭雄

　　　　　　　　　　 （大修館書店）     268 1979年04月

共著

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N. Chomsky の名著Reflections on Language, New York: Pantheon Books, 　1975, 269 pp. の翻訳。

自然言語における論理　　 　　　　　　

『機械処理関係シンポジウム・辞書ファイル委員会活動報告書』（科学研究費研究報告：研究代表者 長尾 真）    15-22 1979年03月

単著

文法と知識　 　　　

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第１０号   231-248 1978年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

意味することと意図すること

『理想』 No.546   93-107 1978年11月

単著

最近の言語哲学の動向：発話行為論を中心に.

『月刊 言語』 Vol.6. No.13   48-56 1977年12月

単著

意味と指示対照-Putnam意味論の批判を中心に-

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第９号   117-134 1977年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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言語表現の意味（内包）と指示対象との関係について論じたもの。「言語表現の意味がその指示対象を決定する」というFrege に代表される「内包主義的見解」に反対するPutnam の議論を詳細に検討し、この議論に潜む難点を指摘する。そして、生成文法理論に基づく意味論の立場から、あるタイプの内包主義的見解を擁護できるという議論を展開する。

意義素論における「呼応の作業原則」について 　　　　　　　

『日本語の機能的分析と日本語教育への応用』（科学研究費研究報告：研究代表者 井上和子）    133-159 1977年11月

単著

「言語的意味とは何か」をめぐって

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第８号   139-166 1976年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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「言語的意味とは何か」にたいする従来の見解を検討したのち、生成文法理論に基づく意味論の立場から、この問題をどのように考えるべきかを論じる。とくに、「ことばの意味」と「ことばの定義」を区別すべきであるとする鈴木孝夫の主張の妥当性を批判的に論じ、また、服部四郎や国広哲弥らが提唱する意義素論の難点をも指摘する。

言語におけるパターン

『ライフサイエンスの進歩』（日本医師会特別医学分科会編第３集） （春秋社）  第３章   80-97 1976年11月

意味とは何か

『ことばの発達とその障害』（村井潤一他編） （第一法規出版）  第３章第４節   72-87 1976年08月

単著

格文法批判の要点

『日本語の機能的分析と日本語教育への応用』（科学研究費研究報告：研究代表者 井上和子）    97-118 1976年06月

共著

チョムスキーと現代哲学

『月刊 言語』 Vol.4. No.12   34-41 1975年12月

単著

生成文法と言語外の要因 　　　　　

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第７号   97-116 1975年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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文法なるものを、話し手の信念や知識から完全に切り離して規定することはできないとするG. Lakoff らの文法観を批判的に検討する。とくに、この種の文法観の根底にある難点は、「文タイプ」と「文トークン」のレベルの混同にあることを指摘する。

チョムスキー言語理論と人間学

『現代思想』 Vol.3. No.6   189-195 1975年06月

単著

The Notion of Presupposition

The Annals of the Japan Association for Philosophy of Science. Vol.4. No.5   271-287 1975年03月

単著, 査読有り

文、命題、言明、発話　　

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』  （ 6 ） 119-135 1974年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）

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「文」、「命題」、「言明」、「発話」という術語は日常しばしばルーズに用いられているが、生成文法理論に基づく意味理論の枠組み内で、これらの概念はいかに理解されるべきかを考察する。この考察を通して、「真理値の担い手はいかなるものか」という問いにたいする解決を試みる。

変形生成文法理論と哲学的意味論 ：内包主義の擁護

『科学基礎論研究』 第４３号   1-8 1974年03月

単著, 査読有り

フレーゲと前提規則 　　

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』 第５号   113-125 1973年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

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生成文法学者が注目する「前提」という概念を初めて導入したのは、論理学者・数理哲学者であるフレーゲであったことを指摘し、フレーゲは、この概念をどのように理解していたかを整理して検討する。とくに、フレーゲが「前提」の定義と規則とを峻別した点に注目して論じる。

Tacit Knowledge

Journal of Philosophy Vol..70. No.2   318-330 1973年06月

単著, 査読有り

『事実―前提』という概念について　　　　

『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』　 第４号   125-148 1972年12月

研究論文（大学，研究機関等紀要）, 単著

Jerrold J. Katz 著　『言語と哲学』

（大修館書店　）     326 1971年09月

単著

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J. J. Katz の名著 The Philosophy of Language, New York: Harper & Row,　1966, 326 pp. の翻訳。

チョムスキー言語理論と合理主義

『理想』 No.456   54-72 1971年05月

単著

文の分析性について　

『哲学』　 （三田哲学会）  第５４集   43-80 1969年11月

単著, 査読有り

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文の分析性の問題を生成文法理論に基づく意味論の観点から考察する。「分析的－総合的」の区別にたいして疑問を投げかけるQuine の議論を詳細に検討し、批判する。

文法、意味、論理の接点

『哲学』 （三田哲学会）  第５２集   73-152 1968年03月

共著, 査読有り