論文 - 平野　仁一

頻回の嘔吐により食道破裂をきたした摂食障害の1例

平野 仁一, 重村 淳, 吉野 相英, 野村 総一郎

精神科治療学 （(株)星和書店）  24 （ 3 ） 371 - 374 2009年03月

ISSN  0912-1862

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我々は、嘔吐により発症した突発性食道破裂および縦隔気腫を合併した摂食障害の症例(神経性無食欲症、むちゃ食い/排出型)を経験したので、その詳細を報告する。症例は30歳女性、以前より過食嘔吐を頻回に繰り返していた。感冒症状と腹痛を主訴に当院受診し入院となった。胸部X線検査にて皮下気腫と縦隔気腫を認め、上部消化管内視鏡検査にて食道に裂傷を認め食道破裂と診断された。低栄養のため創傷治癒が遅延する可能性が高く、中心静脈栄養を考慮した。しかし肥満恐怖から中心静脈栄養施行への同意が得られず、中心静脈栄養への不安から過呼吸発作が頻回となったため絶飲食を主体とした保存的治療を継続した。胸部CT、内視鏡検査で裂傷の治癒を確認しながら食事を徐々に再開し、32病日に退院となった。摂食障害合併症としての食道破裂の報告は多くないが、致死的経過を辿りうる性質上、嘔吐を伴う症例では、本合併症を念頭に置きながら経過を見る必要があると考えられた。(著者抄録)

ペースメーカー装着患者の修正型電気けいれん療法

平野 仁一, 宮崎 誠樹, 吉野 相英, 野村 総一郎

脳と精神の医学 （日本生物学的精神医学会）  19 （ 3 ） 181 - 184 2008年09月

ISSN  0915-7328

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61歳女。58歳、大動脈弁閉鎖不全症・三尖弁閉鎖不全症、洞不全症候群のために弁置換術・ペースメーカー植え込み術を施行した。心労が募り、不眠、食思不振、全身倦怠感、意欲低下をきたした。milnacipranによって症状は改善し、症状改善に伴い、治療を自己中断した。治療中断直後から意欲低下、抑うつ気分が再燃し、病状は一進一退を繰り返した。fulvoxamineで焦燥感、希死念慮の改善を認めたが、左心室瘤が発見され、手術目的にて転院となった。心室瘤切除術は無事終了したが、亜昏迷状態となった。経口摂取困難な状態が続くため、術後管理終了後に再転院となった。難治性のうつ病に加え、高齢で身体消耗が激しいため、ペースメーカー装着中であったが修正型電気けいれん療法を施行した。早期より亜昏迷状態は改善した。心収縮能は良好で、心不全徴候も認めなかった。

最小用量のparoxetineを投与することによりセロトニン症候群発症へ至った1症例　5-hydroxytryptamine 1A受容体と腎不全の関与を中心として

梅田 寿美代, 平野 仁一, 重村 淳, 丹生谷 正史, 野村 総一郎

精神科治療学 （(株)星和書店）  23 （ 2 ） 239 - 243 2008年02月

ISSN  0912-1862

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少量の抗うつ薬を2回投与することによって、セロトニン症候群を惹起した症例を経験した。合併症として腎不全を有することが一因と考えられたが、これ以外に、併用されていた抗精神病薬perospironeの有する5-hydroxytryptamine 1A(5-HT1A)受容体へのアゴニスト作用の関与も推察された。近年、強迫神経症や難治性うつ病の治療場面で抗うつ薬と非定型抗精神病薬が併用される機会も多いことから、注意を要する薬物相互作用と考えここに報告する。(著者抄録)

Stress vulnerabilities in an animal model of post-traumatic stress disorder.

Wakizono T, Sawamura T, Shimizu K, Nibuya M, Suzuki G, Toda H, Hirano J, Kikuchi A, Takahashi Y, Nomura S

Physiology & behavior 90 （ 4 ） 687 - 95 2007年03月

ISSN  0031-9384

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私のカルテから　脳炎による緊張病症候群に修正型電気けいれん療法が奏功した1例

平野 仁一, 小林 伸久, 澤村 岳人, 宮崎 誠樹, 長峰 正典, 吉野 相英, 野村 総一郎

精神医学 （(株)医学書院）  47 （ 5 ） 573 - 574 2005年05月

ISSN  0488-1281

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原因と特定されない脳炎から緊張病症候群を呈し,修正型電気けいれん療法(mECT)が奏効した1例(31歳女性)を報告した.本症例は脳炎から重度の緊張病症状を呈しており,救命上も早急に治療効果の得られる治療法を選択する必要性があった.mECT導入後,筋緊張亢進といった緊張病症状は軽減しており,脳炎より発症した緊張病症候群に対する選択肢としてmECTが有用である可能性が示唆された.緊張病症候群に対するECTの作用機序は不明であるが,パーキンソン病においてECTによるドーパミン系の亢進が示唆されていることから,緊張病症候群においてもドーパミン系の変化が関与しているのではないかと考えられた