今井 芳昭 (イマイ ヨシアキ)

Imai, Yoshiaki

写真a

所属(所属キャンパス)

文学部 人間科学専攻 (三田)

職名

名誉教授

HP

外部リンク

教員からのメッセージ 【 表示 / 非表示

  •  新しい学問の授業(例えば、心理学)を聞くと、最初のうちはなかなか理解しづらいことでしょう。それは、皆さんの頭の中に心理学とはどのような学問であるかという枠組み(スキーマ)ができていないからであると考えられます。その枠組みが次第にできてくると、心理学で使われている概念、研究方法、知見などが理解しやすくなってきます。そうした枠組みを頭の中に作るには、心理学の入門書(まずは、おもしろそうな、易しいもので結構です)を1冊読んでみてください。その上で、今度はもう少し教科書風の入門書を読んでみてください。それを読み終える頃には、大雑把ではあるでしょうけれども、心理学とはどのような学問であるか、その全体像、つまり心理学というスキーマが出来上がっているはずです。その段階になれば、心理学という学問の面白みもわかってくると共に、疑問点も見えてくるはずです。  いろいろなジャンルの本を読むことを通して、読書を楽しむと同時に、知識、情報を獲得し、さらに、自分の日本語表現力(文章力)、思考力、コミュニケーション力を磨いてください。大学生の時代にいかに多くの知識を吸収して自分なりに考え、同時に、いかに種々の体験をするかが、その後の人生にとって大事なことであると考えられます。

その他公開情報 【 表示 / 非表示

  •  後南朝にも関心をもっています。例えば、「もう一つの『太平記』-南朝最後の天皇『自天皇』のナゾ-」 月刊『現代』1991年2月号 pp. 292-307  講談社」をご覧ください。(http://www.ne.jp/asahi/socialpower/yimai/index3_2.html)

経歴 【 表示 / 非表示

  • 1987年04月
    -
    1988年03月

    日本学術振興会特別研究員

  • 1988年04月
    -
    1992年03月

    流通経済大学社会学部専任講師

  • 1992年04月
    -
    1998年03月

    流通経済大学社会学部助教授

  • 1998年04月
    -
    2005年03月

    流通経済大学社会学部教授

  • 2005年04月
    -
    2011年03月

    東洋大学社会学部教授

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学歴 【 表示 / 非表示

  • 1981年03月

    学習院大学, 文学部, 心理学科

    大学, 卒業

  • 1981年04月
    -
    1984年03月

    東京大学, 社会学研究科, 社会心理学専門課程

    大学院, 修了, 修士

  • 1984年04月
    -
    1988年03月

    東京大学, 社会学研究科, 社会心理学専門課程

    大学院, 単位取得退学, 博士

学位 【 表示 / 非表示

  • 社会学修士, 東京大学, 課程, 1984年03月

  • 博士(社会学), 東京大学, 論文, 1992年03月

免許・資格 【 表示 / 非表示

  • 専門社会調査士, 2007年10月

 

研究分野 【 表示 / 非表示

  • 人文・社会 / 社会心理学 (Social Psychology)

研究キーワード 【 表示 / 非表示

  • 対人的影響

  • 影響手段

  • 社会的影響力

  • 説得

  • 順序効果

研究テーマ 【 表示 / 非表示

  • 社会心理学の観点から見た対人場面の分類とその機能, 

    2011年
    -
    2012年

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    本研究の目的は、種々の対人関係における相互作用場面(対人場面、個人(行為主体)がある目標を達成するために、他者と相互作用する場面)を機能的に分類し、社会心理学研究の概要を把握するための資料を作成しようとするものである。

  • 説得における相互作用性と受け手の自動的反応に関する研究, 

    2010年
    -
    2012年

     研究概要を見る

    本研究の目的は、対面状況における説得の相互作用的特徴を明らかにすると共に、受け手の意識的な反応だけでなく、自動的な反応による説得効果も明らかにすることである。

 

著書 【 表示 / 非表示

  • チームとリーダーシップの心理学

    今井 芳昭, 慶應義塾大学出版会, 2023年11月,  ページ数: 104

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     本書において、社会心理学やグループ・ダイナミックスの観点からチームに焦点を当て、グループとの違い、自チームと他チームの認識、リーダーシップ、コミュニケーションについて概観した。チームはグループに比べて課題目標やメンバーシップが明確であり、課題目標の達成と共にチーム解消となる場合が多い。チームとしてのアイデンティティや凝集性を高めるためには、他チームの存在を認識し、チームの課題や目標、チーム内の対人関係が魅力的であるようにもっていくことが必要である。チームのリーダーシップとしては、課題目標の達成や対人関係の円滑化に配慮していくことが求められる。近年では、メンバーに対する知的刺激や個別的配慮を重視した変革型リーダーシップやサーバント・リーダーシップも提唱されている。チーム内のコミュニケーションを円滑にするには、人間の特性(ものごとを理解しようとする、報酬を求め罰を回避しようとする、コントロール感をもとうとする)を理解した上で、他者からの評価を懸念しないで済む心理的安全性の確保、傾聴やIメッセージ、非言語的メッセージの活用があることを指摘した。

  • 影響を与える

    今井 芳昭, ナカニシヤ出版, 2023年04月

    担当範囲: 第2章 第2節,  担当ページ: 83-104

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     本章では、他者に影響を与える際のコミュニケーションについて概観した。「人に影響を与える」とは、与え手からの働きかけによって受け手の行動や態度の変化が生じることである。その中でも説得コミュニケーションに焦点を当て、結論の明示、論拠の一面提示と両面提示、提示順序、フレーミング(利得、損失のどちらに焦点を当てるか)、脅威アピール、ユーモアについて説明した。また、論拠をストーリー仕立てにして呈示するストーリー説得や受け手の態度強度、送り手と受け手の対人関係にも言及した。さらに、電子機器やスマホのアプリを用いた説得技術(カプトロジー)について説明し、説得にかかわる倫理的問題、現実の意見対立の場面における解決方法についてリスク・コミュニケーションや社会構成主義の考え方を紹介した。

  • 心理学から見た社会

    安藤 清志、大島 尚, 誠信書房, 2020年09月,  ページ数: 180

    担当範囲: 第2章 影響力保持者の認知パターン,  担当ページ: 20-40

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     第2章では、影響力(社会的勢力, social power)に焦点を当て、その定義、影響力に関する今までの研究の流れを紹介した後、影響力保持者の認知パターンに関する近年の研究、理論を紹介した。影響力とは、与え手が受け手の態度や行動などに対して、与え手が望むように変化をもたらすことのできる能力と定義することができ、それに関する研究は5つに分類できる。すなわち、影響力の分類と尺度化、影響力行使の手段、影響力動機、影響力に関連する認知、そして、日常的な場面における影響力である。Kipnis(1972)の影響力の変性効果の指摘後、近年は、影響力保持者の認知パターンに関する理論として、影響力の接近/抑制理論(Anderson & Berdahl, 2002)、影響力の状況焦点理論(Guinote, 2007)、影響力の社会的距離理論(Magee & Smith, 2013)が提唱されている。いずれも個人が報酬影響力や強制(罰)影響力を保持することによって、報酬に注目し、ポジティブな情動が喚起され、他者をステレオタイプ的に認知し、ものごとを抽象的に捉えようとし、また、リスク追求的になる傾向を指摘している。本章では、これらの理論を評価し、今後の研究の方向性について論じた。

  • 影響力の解剖

    今井芳昭, 福村出版, 2020年02月,  ページ数: 212

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     本書は、1996年に刊行した「影響力を解剖する」(福村出版)の改訂版である。章立てを変更し、French & Raven(1959), Raven(1965)が提唱した6種類の基本的な影響力から説き起こし、影響力を実際に行使する際に用いる影響手段について解説してある。影響手段については、フット・イン・ザ・ドア法やドア・イン・ザ・フェイス法をはじめとする技巧的な影響手段にも目を向けている。さらに、対人的影響における与え手と受け手、それぞれに関連する心理学的要因(コントロール感、認知パターン、非意識的情報処理、心理的リアクタンスなど)を挙げ、最後に、意図せずに他者に影響を与えてしまう現象(社会的促進や社会的手抜き、行動感染など)について説明している。事例や引用文献についても最近のものを追加した。
     また、6種類の影響力を大きく3つに分類できることを新たに提案した。すなわち、(a)資源に関する影響力(報酬影響力と罰(強制)影響力)、(b)知識(専門影響力と情報影響力)、(c)人間関係(正当影響力と参照影響力)である。この内、資源に関連する影響力がより基本的なものであり、知識や人間関係に関する影響力もその背景には報酬や罰が関連していると捉えることができる。
     トピックとして、教育場面(教師のパワー、いじめ、スクールカースト)、産業組織場面(コンフリクト解決、部署間のパワー)、家庭場面(夫婦間のパワー)にも焦点を当て、それらの場面において影響力がどのように機能しているかを概観した。

  • 新・社会心理学

    今井芳昭, 慶應義塾大学出版会, 2019年04月,  ページ数: 207

    担当範囲: 第2章 対人的影響,  担当ページ: 16-31

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     個人が自分の望むように他者に働きかける行為は対人的影響(interpersonal influence)と呼ばれ、意図性、明示性、言語性などの観点から分類可能である。意図的で明示的なものには、依頼、説得のほかに、指示・命令、交渉などがある。他方、隠蔽的な対人的影響は、言語的なものと環境操作的なものに分類できる。前者には、フット・イン・ザ・ドア法、ドア・イン・ザ・ファイス法などの連続的依頼法、情報操作などがあり、後者には、背景音楽、香り、部屋のレイアウトなどを利用した方法がある。さらに、無意図的な対人的影響には、社会的促進、漏れ聞き効果、行動感染、社会的手抜き、傍観者効果などがある。また、説得は、受け手から見た応諾コストが大きく、受け手の拒否が事前に予期される場合であり、受け手の自由意思を尊重しながら、受け手の態度と行動を与え手の望む方向に変えようとする社会的影響である。その際の受け手の反応をモデル化したものとしてPetty & Cacioppo (1986)の精査可能性モデルがあり、また、個人の意図的な行動に影響を与える3要因(態度、主観的規範、コントロール感)を挙げたモデルとしてAjzen(1991)の計画的行動理論がある。

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論文 【 表示 / 非表示

  • Effects of recalling episodes of influencing attempts on cognition in Japan

    Imai, Y.

    Current Psychology (Springer Nature)  2023年11月

    研究論文(学術雑誌), 単著, 筆頭著者, 査読有り,  ISSN  1936-4733

     概要を見る

    本研究の目的は、日本における影響力-認知関係(power-cognition relationships)を明らかにすることであった。それは、他者に影響力を行使したり、その体験を想起したりすることによって、行動賦活系(BAS, Behavioral Approach System)が活性化し、報酬に注目し、物事を創造的、抽象的に捉え、危険追求的判断を行い、他者との心理的距離を取り、ポジティブ感情になる傾向のことである。Galinsky, Rucker,& Magee (2015)は、影響力の行使やその体験、階層的役割、個人特性が影響力感(sense of power)を活性化させ、その結果、上記のような認知や判断が生じるというモデルを提唱した。その際、調整変数(moderator)として個人差、文化、地位なども挙げている。本研究は、影響力-認知関係が主に西欧文化圏で見出されてきたこと、日本においては、他者に影響を与えることを控えめに捉えている傾向(Den Hartog et al., 2004)を鑑み、Galinsky et al. (2015)のモデルに依拠しながら、日本における影響力-認知関係を検討した。
     日本国内の多くの地域からデータを収集するため、インターネット上で可能な場面想起法を用いて2つの質問紙実験を行った。独立変数として4条件を設定した。高影響力条件(他者に影響を及ぼしたエピソードの記述)、低影響力条件(他者から影響を受けたエピソードの記述)、コントロール条件(最近の印象に残っている映画やドラマの概要の記述)、そして、リーダーシップ条件(リーダーとしてグループ運営に必要なことの記述。研究1のみ)、報酬-罰条件(報酬や罰を用いて他者に影響を及ぼしたエピソードの記述。研究2のみ)である。研究1の従属変数は、変革性志向、感情、解釈レベル(抽象的-具体的)、行動抑制系/行動賦活系(BIS/BAS)、危険追求、心理的距離であった。研究2では、解釈レベル以外の変数を測定した。また、両研究に共通して、実験操作チェックとして影響力感を測定した。
     研究1では、ネット調査のFreeasy社の登録者(n=1,800)を対象に質問紙実験を行った。実験操作に従ってエピソードを記述した回答者が少なく、また、3人の判定者が記述内容の各実験条件の教示への適合度を判定し、分析対象としたのは271人であった。その結果、高影響力群の影響力感が低影響力群よりも有意に高いことが認められたのみで、影響力-認知関係は認められなかった。研究2では、クラウドソーシング・サイトであるCrowdWorksの登録者(n=599)を対象に質問紙実験を行った。研究1と同様に記述内容を判定後、364人のデータを分析した結果、コントロール群の影響力感が4条件の中で有意に最小であることが確認された。しかし、研究2においても影響力-認知関係は認められなかった。日本人が国際的に見て主張性が低いことを鑑みると、これらの結果は、日本においては影響力感が活性化されにくいこと、その結果、影響力-認知関係が生じにくいこと、対人関係を影響力の枠組みで捉えることの難しさを示唆していると考えられる。さらに、実験参加者に対して影響力の行使やそれに関するエピソードの想起方法について標準的な方法を確立することの必要性を主張した。

  • 民事執行における対処方法の社会心理学的検討

    今井芳昭

    新民事執行実務 (民事法研究会)  17   26 - 40 2019年03月

    研究論文(大学,研究機関等紀要), 単著,  ISSN  1346-5422

     概要を見る

     本論文の目的は、民事執行において用いられている執行方法を社会心理学、心理学などの観点から捉えることであった。日本執行官連盟事務局の協力の下、全国の執行官にアンケート調査を行い、民事執行において債務者の納得も得て円滑に行えた事例や時間を費やして執行せざるを得なかった事例を収集した。人間の基本的特性である、報酬獲得、コントロール感の重視について解説した後、アンケートにおける主要な執行場面を適正処遇交互作用(対象者の属性、特徴に適合した対応を選択していくこと)、社会的アイデンティティ(所属カテゴリやグループに基づく、内集団-外集団認知、内集団ひいきの発生)、説得(執行に反対の立場を取る債務者に対する効果的な働きかけ方)という観点から捉えた。最後に、基本原理の修得と個別対応という形によって民事執行における知識、暗黙知を蓄積していくことが、今後の民事執行に資することを考察する。

  • 大規模被災後の大学キャンパスにおける一時避難所運営と関連連する心理学的知見一覧

    今井 芳昭・原 雄士郞・林原 晃人・飯田 紘太郎・中島 寛陽・高野 裕介

    人間と社会の探究 慶應義塾大学大学院社会学研究科紀要 (慶應義塾大学大学院社会学研究科)  81   81 - 107 2016年06月

    研究論文(大学,研究機関等紀要), 共著,  ISSN  0912-456X

     概要を見る

     本研究の目的は、大地震発生後の大学キャンパスにおける一時避難所運営マニュアルを作成すること、そして、避難所運営において事前に知っておくべき心理学的知見の一覧を作成することであった。まず始めに、地震後1週間以内の一時避難所運営で検討すべき事項をリストアップし、図1に見られるようなフローチャーにまとめた。次に、一時避難所運営の効果性を高めるために心理学の4領域(臨床、社会・災害、記憶・学習、知覚・認知)から必要な知見をまとめた(表2)。そして、日頃から大学当局、教職員、学生間でリスク・コミュニケーションを交わしていることが地震後の対応を迅速に効果的に行うことにつながることを議論した。そのためには、大学の一時避難所運営についてリスク・コミュニケーション、リスク管理、心理学的知見の観点から考えていくことの必要性を指摘した。

  • 消費者行動と欺瞞的説得

    鈴木淳子・安藤清志・今井 芳昭・南 隆男

    産業・組織心理学研究 (日本産業・組織心理学会)  26 ( 2 ) 187-193 2013年03月

    研究論文(学術雑誌), 共著, 査読有り

  • 社会心理学における対人的影響研究の動向と今後の課題

    今井 芳昭

    哲学 (慶應義塾大学三田哲学会)  125   33-74 2011年03月

    研究論文(大学,研究機関等紀要), 単著

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KOARA(リポジトリ)収録論文等 【 表示 / 非表示

研究発表 【 表示 / 非表示

  • リッカート尺度項目の抽象度が回答に及ぼす影響

    今井芳昭

    日本心理学会第84回大会 (東洋大学) , 

    2020年09月

    ポスター発表, 日本心理学会

     概要を見る

     本研究の目的は、心理尺度で用いられる言葉の抽象度の差異が回答に及ぼす影響を明らかにすることであった。そのために、「影響力認知尺度」(Imai, 1993)を対象にデータを収集した。この尺度は、回答者に日常、最も影響を与えていると認知している対象人物を1人思い浮かべさせ、6種の 影響力(各4項目)について評定させるものである。原型版を抽象度高条件とし、具体性のある表現を用いた低条件を設定した。Web調査で1,182 人(平均年齢39.41 歳(SD=11.82))の回答を得た。影響力のある人物として父親、母親、配偶者を挙げた回答者のデータ(n=604)を用いて、抽象度×対象人物×影響力の繰り返しのある分散分析を行ったところ、抽象度×対象人物要因の交互作用が認められた。父親(特に参照影響力)の場合に抽象>具体という有意差が認められた。全体的には質問項目の抽象度による回答の差は認められなかったが、具体的な事例を想起しにくい場合は、抽象的な表現の方が評定値の高くなる傾向が示唆された。

  • 対面的説得状況における情報の提示順序とミラーリングによる効果

    今井 芳昭

    日本社会心理学会第52回大会 (名古屋大学) , 

    2011年09月

    ポスター発表, 日本社会心理学会

     概要を見る

    本研究では、対面状況における論拠の提示順序とミラーリングとの交互作用を予測して実験を行ったが、その仮説は検証されなかった。その代わり、ミラーリングの主効果が認められ、ミラーリングを後半に行った場合は、前半の場合よりも試験賛成度が高いという結果であった。相互作用を通してある程度相手に関する情報が集まった後に、ミラーリングを行うことの効果性が見出されたと言える。ただし、前半で送り手の主張点を支持する論拠(長所)を提示する場合は、ミラーリングを付随させることが望ましいようである。

  • 3段階の論拠の提示順序が説得メッセージへの応諾度に及ぼす影響

    今井 芳昭

    日本社会心理学会第51回大会 (広島大学) , 

    2010年09月

    ポスター発表, 日本社会心理学会

     概要を見る

     本研究は、説得メッセージ内の長所と短所の提示順序と説得テーマに対する受け手の自我関与度が受け手の応諾度に及ぼす影響を明らかにしようとするものであった。その結果、自我関与度が高い場合は、-→-→+の方が-→+→-よりも卒業試験に対する回答者の賛成度は高く、自我関与度が低い場合は、+→+→+というパタンの方が-→+→+や-→-→+、-→+→-よりも試験賛成度の高いことが見出された。自我関与度が低い場合は、長所のみを提示することが効果的であることを示唆している。

  • 対人関係ごとに見た、好意度と依頼への応諾度との関連性

    今井 芳昭

    日本グループダイナミックス学会第57回大会 (東京国際大学) , 

    2010年08月

    ポスター発表, 日本グループダイナミックス学会

     概要を見る

     恋人、同性親友、同性友人、同性知人に対する好意度の差異を確認した後、それぞれの相手からの依頼にどの程度応諾するかを比較した。その結果、好意度に対応して応諾度の異なることが見出された。しかし、その差は依頼の(実行コストの)大きさによって多少異なっていた。三者間の有意差がもっとも顕著に認められたのは、実行コストの大きい重依頼因子に関してであった。恋人に対しては、受け手の実行コストが大きい依頼であっても、それに応じようという受け手の反応が認められた。好意(相手)の種類によって、応諾パターンに差のあることが確認され、今後、その関係性を精査していくことが課題である。

  • 論拠の提示順序・提示段階数、受け手の自我関与度・認知欲求度が説得メッセージへの応諾度に及ぼす影響

    今井 芳昭

    日本社会心理学会第50回大会 (大阪大学) , 

    2009年10月

    ポスター発表, 日本社会心理学会

     概要を見る

     説得において、論拠の提示順序・提示段階数、受け手の自我関与度・認知欲求度が受け手の応諾度に及ぼす効果を質問紙実験を用いて検討した。その結果、予測したような自我関与度と提示順序との交互作用効果は認められなかった。しかし、提示順序と段階数との交互作用効果について見ると、+→-→+群が-→+→-群よりも試験賛成度が高いことを示しており、短所を長所で挟む方式の優位性が見出されたと言える。低自我関与度群の方が高群よりも試験賛成度が高かったのは、大学生である実験参加者の立場から理解できる結果である。また、高認知欲求群の方が低群よりも試験賛成度が高かったのは、前者が説得メッセージを精査し説得メッセージからの影響をより強く受けたからであると考えられる。

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競争的研究費の研究課題 【 表示 / 非表示

  • 影響力の行使が影響力保持者の認知パターンおよび被説得に及ぼす影響

    2020年04月
    -
    2023年03月

    文部科学省・日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 今井 芳昭, 基盤研究(C), 補助金,  研究代表者

  • 社会的影響力の保持が認知スタイル・意思決定に及ぼす影響

    2013年04月
    -
    2014年03月

    慶應義塾大学, 慶應義塾学事振興資金, 今井芳昭, 補助金,  研究代表者

     研究概要を見る

    本研究の目的は、社会的影響力の保持がそれを保持しないことに比べて、どのような認知スタイルをもたらし、意思決定にどのような差異をもたらすかを明らかにすることであった。Keltner, et al. (2003), Anderson & Galinsky (2006), Smith & Trope (2006)などの研究によれば、他者に対して影響力をもつことは、自分の行動を抽象的に捉えやすく、自分にはコントロール感があると認識し、行動抑制的よりは行動賦活的な認知をし、さらに、リスク追求的な判断をすることが明らかにされている。
    本研究のポイントは、社会的影響力保持の操作方法を複数設定したことである。
    大学生159人(男性50人、女性109人、平均年齢=19.26歳, SD=1.17)を対象にしてデータを収集し、分析したところ、以下のような結果が認められた。組織や集団のリーダーに求められる要件を考えた人たちは、今までに人から影響を受けたことを想起した人たちに比べて、(a) より小さい成功率でも手術や大学院進学をするよう勧めること(t (62)=3.45, p < .01; t (62)=2.45, p < .05)、そして、(b)困っている他者を援助しようと回答すること(t (63)=2.28, p < .05)である。これらの結果は、必ずしも従来の結果が再現されておらず、社会的影響力保持の操作方法と併せて、さらなる検討の必要なことを示していると考えられる。

  • 社会心理学的視点から見た対人場面の分類とその機能

    2011年04月
    -
    2012年03月

    慶應義塾大学, 慶應義塾学事振興資金, 今井芳昭, 補助金,  研究代表者

     研究概要を見る

    本研究の目的は、種々の対人関係において、個人(行為主体)がある目標を達成するために、他者と相互作用する対人場面(interpersonal situation)を機能的に分類することである。従来、社会心理学においては、対人魅力、援助行動、集団行動などに関する種々のデータが収集されてきたが、それらのテーマを横断的に捉え、対人場面を整理し分類する作業は、Eckes(1995), Kelley (1997), Reis (2007)などを除き、あまり行われてこなかった。本研究は、それを補完しようとするものである。
     今年度は2つの研究を行った。1つは、5~6人の大学生グループに日常の対人場面を列挙させ、それらを自分たちの視点で分類させるものであった。対人場面として、例えば、部活の先輩とランチをとる、バイト先で店長から注意される、友人に悩みを打ち明ける、などが挙げられ、対人場面の規模(人数)、公的性、社会的交換性の有無、便益の受益者の種類、相互作用の方向性、行為者の地位や社会的影響力の差異などが対人場面と関連していると認知されていた。
    2つ目として質問紙調査を行った。大学生(回答者)に、大学以外で生じる、印象に残っている、あるいは、比較的頻繁に生じる対人場面を1つ想起させ、その際の他者の属性、相互作用の内容、雰囲気などを回答させた。分析の結果、他者との世間話、一緒に食事、飲酒、議論・話し合いなどの対人場面が挙げられる頻度が多く、食事の方が議論の場面よりもポジティブな雰囲気として認知され、飲酒は議論・話し合いよりも持続時間が長いという有意差が認められた。また、あらかじめ対人場面を列挙した上で体験頻度を回答させると、一緒に食事や飲酒、買い物、依頼や援助・支援、相談、情報の伝達などが多く、口論、一緒に勉強やスポーツなどが相対的に少ないことが見出された。

  • 説得における相互作用性と受け手の自動的反応に関する研究

    2010年04月
    -
    2013年03月

    日本学術振興会, 科学研究費補助金(文部科学省・日本学術振興会), 今井芳昭, 補助金,  研究代表者

     研究概要を見る

    本研究の目的は、対面状況で相互作用性のある説得に焦点を当て、受け手の非意識的な反応、情報の提示順序、判断基準の強調などによる説得効果を明らかにすることである。本年度は、前年度に行った2つの実験室実験に基づき、1つの実験室実験と相互作用的説得の内容分析を行った。
    前者の実験では、昨年度のものを踏まえて、実験参加者(大学生)にとって自我関与度の高い卒業認定試験の導入を説得テーマとし、独立変数として、(a)卒業試験導入を判断する際に個人的な利益のみに基づくのではなく、広く社会的な視点に立って判断することの重要性を強調すること(有、無)、(b)説得の送り手(実験協力者)による受け手の動作のミラーリング(有、無)を設定した。実験場面では、実験参加者と実験協力者が、試験導入の短所と長所をこの順番で10分間ほど出し合い、その上で、判断基準の要因について操作した。その後、試験導入に関する質問紙に回答させた結果、いずれの主効果、交互作用効果も認められなかったが、相対的に判断基準の強調による効果の傾向が認められた。
     次に、それぞれ反対の立場を主張する2人が相手の態度を変容させるためにどのような主張の仕方を行うかを明らかにするために、相互作用的な説得(15分間)の内容分析を行った。卒業認定試験と原子力発電という2つのテーマについて自由に相手を説得するよう大学生ペアに教示した。その結果、相手の主張を反駁して自説を主張、相手の主張とは別に自説の支持論拠を提示、自説を主張する際の条件の明確化などのパターンが見出された。

  • 対人的影響における情報の提示順序に関する研究

    2006年04月
    -
    2008年03月

    日本学術振興会, 科学研究費補助金(文部科学省・日本学術振興会), 今井芳昭, 補助金,  研究代表者

     研究概要を見る

    社会心理学における順序効果は、印象形成、意思決定、質問紙調査、そして説得の領域で研究されてきている。本研究の目的は、その中でも説得情報(論拠)の提示順序が受け手の反応(賛成、反対)に及ぼす効果を明らかにすることであった。寄付・募金、卒業認定試験、裁判員制度を説得テーマに設定して、質問紙実験、Inquisitという心理学実験ソフトを用いたパソコン実験を行った。
     その結果、(a)説得情報のチャンキング(主張点とその反論とを明確に区分して提示すること)にかかわらず、ポジティブ情報(長所)から先に提示した場合、高認知欲求群(ものごとについてよく考える傾向の個人)の方が低認知欲求群よりも寄付・募金の意図、卒業試験への賛成度が高いこと、(b)寄付・募金の場合よりも卒業試験導入の場合に、ポジティブ情報から先に提示した方が説得メッセージへの賛成度の高いこと、また、(c)低自我関与度群の方が高自我関与度群よりもポジティブ情報から先に提示した方が卒業試験への賛成度の高いことが見出された。
     パソコン実験においては、寄付・募金、裁判員制度を説得テーマとしたが、いずれの実験においても順序効果に関わる主効果、交互作用効果は認められなかった。質問紙実験の手続きとは異なり、説得メッセージの提示後に、説得メッセージ呈示中の思考をパソコンに入力させたが、そのことが順序効果の消失をもたらしたと考えられた。
     結論として、説得情報の提示順序効果はあまり頑健な現象ではないようである。ただし、本研究における諸実験の結果を見ると、ポジティブ情報から先に提示する方がネガティブ情報から先に提示するよりも、受け手の賛同を引き出しやすいようである。また、高認知欲求者は、低認知欲求者に比べて、本研究で用いたような説得メッセージを提示された場合に賛同する傾向のあることが見出された。

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受賞 【 表示 / 非表示

  • 日本心理学会優秀論文賞

    今井 芳昭, 1999年09月, 日本心理学会, College students and religious groups in Japan: How are they influenced and how do they perceive the group members? Japanese Psychological Research, 1998, 40, 206-220.

    受賞区分: 国内学会・会議・シンポジウム等の賞

     説明を見る

     1996年に全国の67大学の大学生8,966人を対象に行った、商品購入、アルバイト、宗教関連などの勧誘に関する調査をまとめた論文である。61.5%の大学生が4-7月の3ヶ月間に何らかの勧誘を受けた体験をもち、新聞の購読が31.2%、宗教関連が7.4%であった。そのうち、勧誘に応諾したのは、新聞の場合20%、宗教関連では3%であった。

 

担当授業科目 【 表示 / 非表示

  • 社会心理学特殊研究Ⅱ

    2024年度

  • 社会心理学特殊研究Ⅰ

    2024年度

  • 人間科学研究会Ⅳ

    2024年度

  • 人間科学研究会Ⅲ

    2024年度

  • 人間科学研究会Ⅱ

    2024年度

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担当経験のある授業科目 【 表示 / 非表示

  • 人間科学特殊(依頼と説得の心理学)

    慶應義塾大学

    2018年04月
    -
    2019年03月

  • 人間科学特殊(集団過程論)

    慶應義塾大学

    2018年04月
    -
    2019年03月

  • 人間科学演習(ワークショップ)

    慶應義塾大学

    2018年04月
    -
    2019年03月

  • 社会科学特論

    慶應義塾大学

    2018年04月
    -
    2019年03月

  • 原典講読

    慶應義塾大学

    2018年04月
    -
    2019年03月

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教育活動及び特記事項 【 表示 / 非表示

  • 心理学から見る日常生活

    2011年05月

    , 教科書・教材の開発

 

社会活動 【 表示 / 非表示

  • 私立大学情報教育協会

    2004年06月
    -
    2010年03月
  • 私立大学情報教育協会

    2002年07月
    -
    2004年05月
  • 中央労働災害防止協会

    1997年11月
    -
    1999年03月

所属学協会 【 表示 / 非表示

  • American Psychological Association, 

    1983年04月
    -
    継続中
  • 日本社会心理学会, 

    1983年04月
    -
    継続中
  • 日本教育心理学会, 

    1983年04月
    -
    継続中
  • 日本グループ・ダイナミックス学会, 

    1981年04月
    -
    継続中
  • 日本心理学会, 

    1981年04月
    -
    継続中

委員歴 【 表示 / 非表示

  • 2011年04月
    -
    2014年03月

    常任理事, 日本社会心理学会

  • 2011年04月
    -
    2013年03月

    事務局長, 日本社会心理学会

  • 2005年04月
    -
    2009年03月

    「社会心理学研究」編集委員, 日本社会心理学会

  • 2004年06月
    -
    2010年03月

    心理学教育FD/IT活用研究委員会副委員長, 私立大学情報教育協会

  • 2002年07月
    -
    2004年05月

    心理学情報教育委員会副委員長, 私立大学情報教育協会

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