研究者詳細 - 西脇　与作

論文 - 西脇　与作

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進化生物学と決定論の自然化

科学基礎論研究 Vol.23　No.17-13 1993年03月

単著

進化生物学の遺伝的な決定論の構造を明らかにし、その限界と新たな特徴づけを心の哲学を参照しながら探ったもの。自然選択の過程を中心にどのような因果連関を想定し、そこに遺伝をどのように組み込むかが議論される。その上で、進化の因果関連が一部決定論的でありながら、確率的な要素を含むものであることが明らかにされる。そこから、進化の文脈における遺伝の決定論は本来の数学的な決定性から因果的な決定性に変ることが結論される。

形と生きものをめぐって

慶應義塾大学日吉紀要　自然科学 No.12 2-18 1992年03月

単著

三人がそれぞれ独立に書いた論文の一部である。進化論の立場から生物の形態がどのように扱われ、どのような役割を果たしているかが考察される。表現型としての形は生物の間での相互作用においてその機能と結びついている。形と機能が組み合された複合形式が形態であるという生態学的な視点が組み込まれる。また、その形態の変化のパターンも形態の一部として扱われる。

断続主義の役割

（三田評論） 11月号 47 1990年11月

単著

Terminology－哲学者の言えること

情報管理 Vol.32,No.11 1002-1005 1990年04月

単著

情報処理やその検索に関して、哲学の言語やその意味に関する理論からどのような貢献ができるかを論じたもの。特に、情報の分類に関して言語の哲学からどのような貢献ができるかを、意味の指示理論を中心に考察される。生物種の分類と人工的な分類の間での共通点、相違点を取り上げ、その分析を通じて情報の役割の違いが二つの分類を分けていることが明らかにされる。自然分類が指示の実在論的解釈に基づき、人為分類が指示の非実在に基づくことが結論である。

進化論を比喩から救うために

哲学91　三田哲学会 91 105-124 1990年03月

単著

進化論が科学理論をして十分な資格をもっていないということに対する擁護がこの論文の目的である。進化論が単なるお話ではなく、十分科学理論としての資格をもっていることを、その理論的な構造を明らかにすることによって示した。比喩による説明と科学的な説明の違いから、進化論での説明が比喩できないことが主張される。さらに、歴史的な説明が比喩とはどのように異なるから、歴史的説明をもつ進化論の説明の仕方が特徴づけられる。結論として比喩から救われる条件が示される。

人間の進化論

（三色旗　） 2月号 2-5 1990年02月

単著

学生向けの進化論の内容と、特に人間の進化の研究の最近の動向を解説したもの。人間の発生に関してどのように進化論が適用できるかという観点から、ヘッケルの生物発生原則や幼形成熟を取り上げ、それが現在どのように扱われているかを、グールドやドーキンスといった人たちの主張を通じて明らかにしたもの。遺伝子とその発生の問題が人間の理解にとってどのような役割をもつかを遺伝子決定論の誤りという形で明らかにした。

デイビッド.プリマックギャバガイ

産業図書 1989年09月

動物言語、特にチィンパンジーの言語研究についての哲学的な分析の翻訳。動物言語の研究は人間言語の解明にとって実証的な側面で重要な役割を果たすものであるが、その研究が抱えている原理的な問題を明らかにしたもの。言語哲学の問題と実際のチィンパンジーの言語獲得の研究を比較しながら、言語の本性を的確に描いた本書はその後の動物言語、さらには動物心理の研究に重要な貢献をしたと考えられている。進化や発達の観点からの自然主義的研究が抱える問題を言語哲学の文脈で見事に描いている。

ジョン.エクルス　神が心を吹き込んだ瞬間

世界3月号 3月 240-49 1989年03月

エクルスの心身二元論の主張の翻訳である。エクルスは脳生理学者でありながら、心の独立の存在を認めるという立場を取り、その観点から心身の相互作用論を展開している。その彼の主張を易しく展開した論文であり、科学と哲学の交流が随所に溢れている。特に、脳にどのような部位が心の働きにどのように結びついているかの説明は詳しくなされている。脳生理学者のなかには以外に二元論者が多く、エクルスもその一人ではあるが、彼のような立場の伝統は現在でもペンローズの主張等に引き継がれている。

生物学での記号、照合、根拠付

哲学87　三田哲学会 87 69-86 1988年09月

単著

生物学の理論的対象が物理学の対象とどのように異なるかを理論内で用いられる記号やその意味から明らかにし、生物学の内容を再検討したもの。科学的命題の検証は生物学の場合、照合という形式を取り、目的や適応が命題の根拠として用いられることが主張される。このような点で生物学は物理学とは異なり、心理学に近いことが明らかにされる。そして、このような特徴をもつ生物学の知識は物質の性質についてのものではなく、その物質のもつ情報の特徴であることが導き出される。

科学と目的論的説明

哲学38　日本哲学会 38 24-43 1988年05月

単著

日本哲学会のシンポジウムでの原稿論文。科学の説明は一般に因果的であり、そのため目的や機能は非科学的な概念であるという理解が誤りであり、科学は目的や機能を説明できるという主張を展開したもの。目的や機能の説明として進化論的な説明が取り上げられ、どのように目的や機能の自然化が可能かが論じられる。その自然化の典型として期限を明らかにする形での目的、機能の説明が考えられ、それが十分に因果的説明に匹敵することが明らかにされる。無論、ここでは起原や歴史の存在が前提されている。

心と脳の相互作用論的視点

現代思想 Vol.16-4 132-143 1988年04月

単著

心身問題に関するデカルト以来の考えである心身の相互作用論の特徴とそれが現代の知見のもとでどのような展開できるかを論じたもの。通常、心と脳の関係は物理主義的な一元論で考えられるが、言論的な相互作用の考えでも同じように扱えることを幾つかの代表的な相互作用論の例を引きながら明らかにした。それと共に、脳に関する知識と心に関する知識の違いを論じ、そのことと相互作用が独立した話であることを結論としている。現象の記述とその説明の違いがこの結論の根拠になっている。

新しい総合を求めて

科学基礎論研究　科学基礎論学会 Vol.18,No.4 191-198 1988年03月

単著

進化論の総合説がどのような理論的構造からなっているかを集団遺伝学のモデルから明らかにし、そこから複数の進化要因がどのように扱えるのかが検討される。複数の力を含む物理理論がないことから、それをヒントに総合説のあるべき姿が探られる。特に、自然選択と遺伝的浮動の関係が問題にされ、両者がモデル以上で区別できない点が、両者を適切に扱うモデルが存在しない点が明らかにされる。そこから、どのように既存の集団遺伝子学のモデルの改良が可能かが検討される。

言語理解とインテンショナリティ

月刊言語　 Vol.16,No.13　 44-53 1987年12月

単著

言語の意味論に関する論理的、哲学的な今世紀の研究を概観しながら、それらの考えの特徴を吟味した論文。Frege以来の論理的意味論をもとに、その修正と変容、日常言語学派から始まる言語行為論、モデル論的な意味理論等を比較し、志向性をどのように理論化することができるかを論じた。特に、可能世界意味論や状況意味論によって意味がより多面的に扱えるようになることが強調される。それと同時に、意味のもつ複雑な構造が未だ十分に形式化できない点も幾つか指摘される。志向性はそのような形式化を阻む一つである。

理論と比喩

科学哲学20　日本科学哲学会 20 73-86 1987年09月

単著

科学理論の理解の仕方として形式的な理論として捉えるか、モデルの集まりとして捉えるかの二つの見方がある。本論ではモデル論的に科学理論は捉えられるべきであるという主張を進化論を例にしながら展開される。更に、そのモデルという概念を拡大し、比喩との関連から理論の具体化が議論される。物理的と違う生物学の特徴が以上のことから得られる。理論をモデルの集まりとして理解する考えは自然科学の理論を一般的に特徴づけるために不可欠であるという主張は現在ではほとんど常識になっている。

種の起原

三田評論 7月号 78-9 1987年07月

単著

慶應義塾がダーウィンの「種の起原」の初版本を購入したので、その初版本の内容を関して紹介し、合わせてこの本の意義について考察したもの。ダーウィンの「種の起原」は初版から6版まで出されたが、初版がダーウィンの考えをもっとも忠実に示していると言われている。そこでダーウィンが何をどのように議論しているかを分かり易く概説し、それがどのように現代の進化論に引き継がれているかを描いた。

自然選択の虚と実

現代思想 Vol.15-7 94-104 1987年06月

単著

自然選択をどのような課程、あるいは力として捉えるべきかについての考えが比較検討され、遺伝のメカニズムと自然選択が総合されるべきであるという主張が擁護される。この主張に基づき、進化の総合説の論理的構造が矛盾をもたない、整合的なものとして特徴づけられる。そして、そこから生物世界の多様性や適応がどのように導き出されるかが検討される。その結果として、進化論の構図の中で説明される事柄と、説明できない事柄が概念的に明らかにされた。また、発生学との違いも指摘された。

カール.R.ポパー、ジョン.エクルス　自我と脳　下

大村裕

（思索社） 609-807 1986年12月

共著

著名な哲学者カール.ポパーとノーベル賞受賞者である脳生理学者ジョン、エクルスの共著の翻訳とその解説。本書はそれぞれの著者の各章と違い対話からなる三部構成になっており、ポパーの章と対話を担当。本書ではポパーの心身相互作用論、世界3説ならびにエクルスの心身相互作用説が展開されているが、このデカルト的な説がどのようなものであるかが論じられている。哲学と科学が共同して心の問題に取り組んだものであり、刺激的な内容を含んでいる。

カール.R.ポパー、ジョン.エクルス　自我と脳　上

大村裕

（思索社）上すべて 1986年06月

共著

哲学の学び方

三色旗 12 2-5 1986年05月

単著

通信教育の学生に対して哲学の学び方を解説したもの。哲学の学び方をその方法や原則の重要性という観点から、犯罪捜査での犯人探しに疑えながら知識とそれを使っての推論をどのように組み合わせて哲学の問題に対処するのがよいかを延べた。更に理想のタイプと現実のタイプの哲学の学習方法が異なる結果を生むのではなく、最終的には同じ結果に至る異なる経路であることも示した。対象としたのは直接に授業を受けることができない通信の学生であるが、一般の学生にも通じることも強調されている。

パラドックスから真理の理論へ

哲学83　三田哲学会 83 1-31 1986年03月

単著

いわゆる自己言及文のタイプの一つとして真理を考えたときの真理概念の表現のもつ論理的特徴を、「…は真である」という文の定義可能性として扱え、それを表現できる論理システムの幾つかの比較した論文。高階の言語は矛盾なしに論理システムとなれないという一般的な結果をどのような回避しながら「…は真である」を組み込むかが工夫の必要とされる点である。その工夫の幾つかを具体的に論理システムを組み、そのモデルを考えることによって比較が可能となり、それぞれのシステムの特徴と関係が明らかにされた。

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西脇 与作

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