安藤 和也 (アンドウ カズヤ)

Ando, Kazuya

写真a

所属(所属キャンパス)

理工学部 物理情報工学科 (矢上)

職名

准教授

HP

外部リンク

経歴 【 表示 / 非表示

  • 2010年04月
    -
    2013年03月

    東北大学, 金属材料研究所, 助教

  • 2013年04月
    -
    2015年03月

    慶應義塾大学, 理工学部物理情報工学科, 専任講師

  • 2013年10月
    -
    2017年03月

    科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業さきがけ, 研究員

  • 2013年10月
    -
    2019年09月

    理工学部情報通信ネットワーク委員

  • 2013年10月
    -
    2019年09月

    理工学ITC利用者協議会委員

全件表示 >>

学歴 【 表示 / 非表示

  • 2003年04月
    -
    2007年03月

    慶應義塾大学, 理工学部, 物理情報工学科

    大学, 卒業

  • 2007年04月
    -
    2008年09月

    慶應義塾大学, 理工学研究科, 基礎理工学専攻

    大学院, 修了, 博士前期

  • 2008年09月
    -
    2010年03月

    慶應義塾大学, 理工学研究科, 基礎理工学専攻

    大学院, 修了, 博士後期

学位 【 表示 / 非表示

  • 博士(工学), 慶應義塾大学, 課程, 2010年03月

 

研究分野 【 表示 / 非表示

  • ナノテク・材料 / 応用物性 (スピントロニクス)

  • 自然科学一般 / 磁性、超伝導、強相関系 (スピントロニクス)

研究キーワード 【 表示 / 非表示

  • スピントロニクス

 

著書 【 表示 / 非表示

  • スピントロニクスハンドブック

    安藤和也, 三輪真嗣, エヌ・ティー・エス, 2023年05月

    担当範囲: 分子スピントロニクス,  担当ページ: 第17章, pp.377-382

  • Handbook of Magnetic Materials Volume 29

    T. Gao, K. Ando, Elsevier, 2020年12月

    担当範囲: Spin-orbit torques,  担当ページ: Chapter 1, pp.1-55

  • Handbook of Spintronics

    K. Ando, E. Saitoh , Springer, 2016年03月

    担当範囲: Spin Current Generation by Spin Pumping ,  担当ページ: pp.1481-1504

  • Spin Current

    K. Ando, E. Saitoh , Oxford University Press, 2012年10月

    担当範囲: Incoherent spin current (Chapter 2, pp.15-24), Exchange spin current (Chapter 3, pp.25-32), Experimental observation of the spin Hall effect using spin dynamics (Chapter 15, pp.244-251)

  • Photodetectors

    K. Ando, E. Saitoh, InTech, 2012年03月

    担当範囲: Spin Photodetector: Conversion of Light Polarization Information into Electric Voltage Using Inverse Spin Hall Effect,  担当ページ: Chapter 18, pp.405-416

全件表示 >>

論文 【 表示 / 非表示

  • Control of dynamic orbital response in ferromagnets via crystal symmetry

    Tenghua Gao, Philipp Rüßmann, Qianwen Wang, Riko Fukunaga, Hiroki Hayashi, Dongwook Go, Takashi Harumoto, Rong Tu, Song Zhang, Lianmeng Zhang, Yuriy Mokrousov, Ji Shi, and Kazuya Ando

    Nature Physics 2024年09月

    研究論文(学術雑誌), 共著, 最終著者, 責任著者, 査読有り

  • Observation of orbital pumping

    Hiroki Hayashi, Dongwook Go, Satoshi Haku, Yuriy Mokrousov, Kazuya Ando

    Nature Electronics 7   646 - 652 2024年06月

    研究論文(学術雑誌), 共著, 最終著者, 責任著者, 査読有り

  • Observation of Long-Range Current-Induced Torque in Ni/Pt Bilayers

    Hiroyuki Moriya, Mari Taniguchi, Daegeun Jo, Dongwook Go, Nozomi Soya, Hiroki Hayashi, Yuriy Mokrousov, Hyun-Woo Lee, Kazuya Ando

    Nano Letters 24 ( 22 ) 6451 - 6464 2024年05月

    研究論文(学術雑誌), 共著, 最終著者, 責任著者, 査読有り

  • Impact of crystallinity on orbital torque generation in ferromagnet

    R. Fukunaga, S. Haku, T. Gao, H. Hayashi, K. Ando

    Physical Review B 109 ( 14 ) 144412_1 - 144412_8 2024年04月

    研究論文(学術雑誌), 共著, 最終著者, 責任著者, 査読有り

  • Two-dimensional Rashba superconductivity in Ni/Bi bilayers evidenced by nonreciprocal transport

    H. Hayashi, K. Ando

    Applied Physics Reviews 11 ( 1 ) 011401_1 - 011401_6 2024年01月

    研究論文(学術雑誌), 共著, 最終著者, 責任著者, 査読有り

全件表示 >>

KOARA(リポジトリ)収録論文等 【 表示 / 非表示

総説・解説等 【 表示 / 非表示

  • Generation and manipulation of current-induced spin-orbit torques

    K. Ando

    Proceedings of the Japan Academy, Series B 97   499 - 519 2021年11月

    記事・総説・解説・論説等(学術雑誌), 単著, 筆頭著者, 最終著者, 責任著者

  • ラシュバスピン軌道相互作用によって発現するスピントロニクス現象の分子エンジニアリング

    安藤和也

    まぐね 15 ( 1 ) 31 - 37 2020年01月

    単著, 筆頭著者, 最終著者, 責任著者

  • 金属酸化物を用いたスピン軌道トルク生成と電流―スピン流変換の分子制御

    安藤和也

    応用物理 87 ( 9 ) 660 - 664 2018年09月

    単著, 筆頭著者, 最終著者, 責任著者

  • 自然酸化銅を用いた脱レアメタルのスピントロニクスデバイスの開発

    影山由維人,安藤和也

    機能材料 37 ( 3 ) 46 - 54 2017年03月

    共著, 最終著者, 責任著者

  • 有機半導体におけるスピン流の輸送・緩和・変換

    渡邊峻一郎,安藤和也

    電子スピンサイエンス 13 ( 25 ) 96 - 101 2015年09月

    記事・総説・解説・論説等(その他), 共著, 最終著者

全件表示 >>

研究発表 【 表示 / 非表示

  • Orbital torque and orbital pumping

    K. Ando

    CMD31-General Conference of the Condensed Matter Division of the European Physical Society (Braga) , 

    2024年09月

    口頭発表(招待・特別)

  • Orbital currents and magnetization dynamics in metallic systems

    K. Ando

    SPIE (San Diego) , 

    2024年08月

    口頭発表(招待・特別)

  • Orbital currents and orbital torques in metallic systems

    K. Ando

    International Conference on Magnetism 2024 (Bologna) , 

    2024年07月

    口頭発表(招待・特別)

  • Orbital currents and orbital torques in metallic systems

    K. Ando

    Intermag 2024 (Rio de Janeiro) , 

    2024年05月

    口頭発表(招待・特別)

  • Measurement of intrinsically generated transverse spin decay length in ferromagnets

    Y. Takeuchi, K. Ando

    Iwate Spintronics School (Morioka) , 

    2024年02月

    ポスター発表

全件表示 >>

競争的研究費の研究課題 【 表示 / 非表示

  • 角運動量流物性科学の開拓とスピン軌道エレクトロニクスへの展開

    2022年04月
    -
    2028年03月

    文部科学省・日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 安藤 和也, 基盤研究(S), 補助金,  研究代表者

     研究概要を見る

    物質中の電子は電荷・スピン・軌道の自由度を持ち、電流とスピン流は現代の産業・電子物理の基盤である。一方、軌道自由度に対応する「軌道流」は存在そのものが実験的には明らかではなかった。本研究は、軌道流まで包括する「角運動量流」の生成・変換・制御原理を体系化することで、従来の電子技術の延長線上にはない新たなテクノロジー体系「スピン軌道エレクトロニクス」の基盤を構築するものである。
    2022年度は、強磁性体における軌道流の長距離伝導を観測することに成功した。強磁性体では、spin dephasing機構によってスピン流は数原子層で消失する。一方、軌道流にはこの機構が作用せず、強磁性体において10 nm以上もの距離を伝導する証拠が今回得られた。スピン流と軌道流はいずれも電子の角運動量の流れであり、両者を区別する困難さから、軌道流の存在はこれまでの研究の中でスピン流に隠されてきた。今回の結果は、スピン流と軌道流の本質的違いを明らかにしたものであり、軌道流の存在を強く示す証拠であるだけでなく、今後の軌道流研究の基本的手法となることが期待される。上記成果は、軌道流が特に顕在化することが期待されたスピン軌道相互作用の弱い系において得られたものである。これに対し、スピン軌道相互作用が強い系ではスピン流と軌道流の競合が期待される。そこで、スピントロニクスで最も広く用いられてきた重金属の一つである5d遷移金属Wに注目し、強磁性金属/W構造における電流誘起トルクを系統的に調べた。強いスピン軌道相互作用のため、この系における角運動量ダイナミクスを支配しているのはスピンホール効果とスピン流であるとこれまで考えられてきた。しかし今回、強いスピン軌道相互作用に特徴づけられるこの系においても、軌道ホール効果と軌道流が重要となることが明らかになった。特に、薄膜領域ではスピンホール効果によるスピン流、厚膜領域では軌道ホール効果による軌道流が電流誘起トルクを支配していることを見い出した。本研究の開始以前、軌道流は、数原子層で消失すると予想されていた。今回観測されたスピントルクと軌道トルクのクロスオーバーは、軌道流がスピン流よりも一桁以上長距離伝導することを示すものであり、角運動量輸送における軌道自由度の重要性を明らかにしたものである。以上の成果をCommunications Physics 6, 32 (2023)に発表した。
    これまでの研究により、軌道流の検出手法を確立し、軌道流が顕在化する系を特定することに成功しただけでなく、軌道流の長距離伝導の観測という期待以上の結果を得るに至った。これにより本研究計画の基盤が構築されたといえる。また、エピタキシャル試料においても軌道流測定が可能となる系を見出しており、軌道流の基礎物性を明らかにするための準備を整えることができた。
    これまでの研究により、スピン軌道相互作用が弱いTiにおいて軌道流が支配的となることを見出し、スピンホール効果と軌道ホール効果が逆符号であるWにおいてスピン流と軌道流の競合を明らかにした。この一連の研究の仕上げとして、スピン流と軌道流の相加効果が期待される重金属における軌道流の役割を明らかにする。さらに、エピタキシャル試料における軌道ホール効果・軌道ラシュバ効果による角運動量輸送に関する研究に取り組む。

  • 位相干渉を用いた多入力スピン波電子融合回路チップの開発

    2020年04月
    -
    2025年03月

    文部科学省・日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 後藤 太一, 竹内 尚輝, 安藤 和也, 基盤研究(B), 補助金,  研究分担者

     研究概要を見る

    本研究は,科研費若手研究(A),JSTさきがけの予算を受け,NAND・NORの動作を実証した『スピン波を用いた多入力位相干渉素子』を発展させ,多入力処理に特化したスピン波電子集積回路デバイスの作製を目指す。これまでの研究で,スピン波のデバイスとしての強みが明らかになったが同時に弱みも分かった。そこで,スピン波だけを使うだけではなく,スピン波回路を電子回路と融合する開発路線の優秀性を示そうとするものである。このための要素技術とし,スピン波の増幅・多段化の実証,および,磁性材料を電子回路と一体化し,電子回路によるスピン波の励起・検出・制御を行うことを目指す。

  • スキルミオニクス創成に向けた基盤技術と材料の開拓

    2020年04月
    -
    2024年03月

    文部科学省・日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 望月 維人, 笹川 崇男, 安藤 和也, 小野 輝男, 基盤研究(A), 補助金,  研究分担者

     研究概要を見る

    磁性体中に発現するナノサイズの磁気渦「磁気スキルミオン」は (1)ナノスケールの極小サイズと,(2)トポロジカルに保護された安定性,(3)室温を超える動作温度,(4) 高い省電力性,といった磁気デバイスへの応用に最適な性質をいくつも持っています。これらの性質を生かし、近い将来の高度情報化社会を担う「磁気メモリ」や「磁気センサ」、「脳型情報処理素子」の実現を目指し、これらの素子の基盤となる「高性能な磁気材料」と「生成・消去・検出・伝送といった要素技術」を「理論設計」と「実験実証」により開発します。これにより、スキルミオンを使った次世代エレクトロニクスである「スキルミオニクス」の創出を目指します。
    空間反転対称性を持つ金属磁性体を記述する近藤格子模型において、マイクロ波電磁場を照射した時の局在磁化の時間発展を数値的にシミュレーションする計算コードを開発し、円偏光マイクロ波照射による磁気トポロジーのスイッチングができることを理論的に実証した。2009年に中性子小角散乱実験によってキラル磁性体であるB20化合物中で発見されて以来、スキルミオンをはじめとするトポロジカル磁性は、DM相互作用が活性になるキラル磁性体や極性磁性体といった空間反転対称性の破れた磁性体での発現するものだと、素朴に信じられてきた。しかし近年、空間反転対称な結晶構造を持つ様々な金属磁性体において、スキルミオンやそれに類似したトポロジカル磁性が発現していることが発見されている。このような系の長所は、キラル磁性体や極性磁性体では凍結してしまっているvorticity(渦度)やhelicityと言った、磁気構造の持つ自由度が凍結せずに生き残っている点にある。このような自由度を、光やマイクロ波、その他の外場や外部刺激によって操作・制御できれば、新しい物質機能として利用できる可能性がある。本研究により、実際に円偏光マイクロ波の照射により、磁気トポロジーを高速にスイッチできることや、マイクロ波のパラメータ(強度や周波数)を調節することでトポロジカル数が「2」、「1」、「0」の間をある程度自在に飛び移れること、動的相転移であるこを反映して「決定論的」、「確率的」、「時間揺らぎ的」といった様々な相転移の様相が現れることを明らかにした。これは、空間反転対称性を持つ金属磁性体のスキルミオンの技術応用に向けた重要な成果に位置づけられる。また、これ以外にも、物質のトポロジカルな性質に関する書籍において、スキルミオンのマイクロ波ダイオード効果に関する章を執筆した。
    2021年度に着任を予定していた研究員(台湾国籍)がコロナ感染拡大による入国制限により入国が1年以上遅れ、この研究員と進める予定であった、「スキルミオンのリザバー型情報処理応用の実証研究」に大きな支障が生じた。キラル磁性体の薄片試料に閉じ込めたスキルミオン結晶中を伝わるスピン波を活用したリザバーに、「汎化性」、「非線形性」、「短期記憶性」というリザバーに要求される性質や性能が高いレベルで備わっているかどうかを数値計算により検証する研究計画であった。それぞれの性能指標を調べるために、これらの性能を定量的に検証する典型的なテスクである「信号時間推定タスク」、「パリティチェックタスク」、「短期記憶タスク」を採用し、数値計算による性能実証を目的としたプログラムコードの開発に取り組んだ。しかし、オンライン会議ツールやメールを使った議論を頻繁に行い、定期的に研究進捗を報告させるなど、少しでも研究の進展に影響がでないように努力をしたが、コード開発の詳細な部分を突き詰める場面において、対面で画面や資料を並べて見ながら議論できないことが大きな支障となった。そのため、当初予定していた「スキルミオンのリザバー型情報処理応用の実証研究」にはやや遅れがみられる。しかし、同時に、計画を前倒しして取り組んだ上述の「空間反転対称性を持つ磁性体の磁気トポロジーのマイクロ波照射による操作・制御の理論実証研究」では期待していた以上の成果が出ている。これらを総合的に勘案して、本研究課題の進捗状況を「おおむね順調に進展している」と評価した。
    1)スキルミオン結晶中を伝搬するスピン波を活用した「スキルミオンスピン波リザバー素子」について、ここまでの研究期間で行ってきた、リザバーとしての基本性能を実証する理論研究を発展させ、より実用的な性能の検証タスクである「手書き数字認識タスク」による性能実証を行う。0から9までの無数の手書き数字画像のデータベースを利用し、手書き数字を認識できるかどうかを検証する。さらに、入力・出力ノードの数や位置、時間方向のデータ読取り点(仮想ノード)の設定、入力信号の強度・幅などを最適化し、より高い認識率を実現するための設計指針を明らかにする。
    2)スピン軌道トルクを利用した電流によるスキルミオンの生成・駆動方法を理論設計する。スキルミオンを電流により制御することは、メモリ素子をはじめとするスキルミオンのスピントロニクス応用に欠かせない基盤技術である。これまでに、電流の伝導電子が持つスピン角運動量が局在磁化に移行することで、磁気構造を駆動する「スピン移行トルク」を利用したスキルミオンの駆動や生成が精力的に研究されてきた。これは、キラル磁性体のスキルミオンを電流で制御することを念頭に置いている。しかし近年、磁気多層構造において界面DM相互作用により発現するスキルミオンが注目を集めている。このような系のスキルミオンの操作には、スピン移行トルクではなく、スピン軌道トルクを利用することが試料の構造上自然である。このスピン軌道トルクを用いた磁気多層膜系のスキルミオンの電流による生成・駆動方法を理論的に探索・予言する。
    3)その他に、3次元金属キラル磁性体で発見されている磁気ヘッジホッグ格子のマイクロ波応答やスピン波モードを明らかにし、この磁気構造のマイクロ波に関連した機能や現象を探索したり、磁気・電気双極子相互作用の協力に起因する新しいトポロジカル磁気構造と発現機構を探索・解明したりする。

  • 絶縁体中スピン流伝導の開拓

    2019年06月
    -
    2021年03月

    文部科学省・日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 安藤 和也, 挑戦的研究(萌芽), 補助金,  研究代表者

     研究概要を見る

    本研究は、非線形スピントロニクス現象を用いた精密スピン流伝導測定により、反強磁性絶縁体中スピン流伝導を切り拓くものである。スピントロニクスの基盤は物質中のスピン伝導である。しかし、磁性絶縁体の一般的基底状態である反強磁性状態におけるマグノンスピン流伝導の微視的機構は現時点で殆ど未解明である。本研究では、波数ベクトル・エネルギーを制御したマグノンスピン流の精密測定により、反強磁性体中スピン流伝導物性を明らかにする。
    マグノンにより担われる磁性絶縁体中スピン伝導の理解に向けた重要な課題の一つとして、反強磁性絶縁体へのスピン流注入と反強磁性絶縁体中のスピン伝導の波数ベクトル・エネルギー依存性の解明がある。本研究では、非線形スピントロニクス現象を用いることで、磁性絶縁体/反強磁性絶縁体接合における界面スピン交換と反強磁性体中スピン伝導を精密に測定し、高波数モードのマグノンが反強磁性絶縁体への効果的なスピン注入を実現することを明らかにした。これは、界面交換バイアスの効果が反強磁性絶縁体へのスピン流注入に大きな影響を与えることを示している。
    電荷の流れである電流が金属及び半導体中のみ伝導するのに対し、スピン角運動量の流れであるスピン流は、金属・半導体だけでなく、スピン系の素励起、マグノンによって絶縁体中さえ伝導する。しかし、磁性絶縁体の一般的基底状態である反強磁性状態におけるマグノンスピン流伝導の微視的機構は明らかでなかった。今回の研究により、反強磁性絶縁体へのスピン流注入を実現する最も典型的な構造である、強磁性/反強磁性絶縁体ヘテロ構造におけるスピン注入及びスピン伝導のマグノン波数依存性が初めて明らかになった。これは、反強磁性体絶縁体ベースのスピントロニクスにおける重要な知見である。

  • 金属酸化物スピン軌道エレクトロニクス

    2019年04月
    -
    2022年03月

    文部科学省・日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 安藤 和也, 基盤研究(A), 補助金,  研究代表者

     研究概要を見る

    本研究は、これまで独立に研究が進められてきた電子スピン流物理と酸化物エレクトロニクスの先端的知見を統合し、金属・半導体・絶縁体に跨がる金属酸化物スピン軌道エレクトロニクスを開拓するものである。酸化制御した金属ヘテロ構造を用いることで、広範囲の電子状態における体系的スピン流物理の構築が可能となる。本研究遂行により、バルク・ヘテロ界面を包括するスピン流伝導・スピン電荷変換を世界に先駆けて切り拓く。
    スピン軌道相互作用によるスピン流生成は、スピン軌道トルクによる磁化制御をはじめとする多彩な物性・機能を生み出し、近年のスピントロニクスの基盤となっている。本研究では、スピントロニクス素子の酸化レベル制御を中心とした独自のアプローチにより、界面・バルクスピン軌道相互作用に起因するスピン流・スピン分極生成とスピン軌道トルク物性を開拓した。これにより、界面・バルクスピン軌道トルクの制御手法が明らかとなった。
    スピン軌道相互作用を中心とした近年のスピントロニクスにおいて、スピン軌道トルクの物性開拓は、固体素子におけるスピン物性の本質的理解に重要な知見を与えるだけでなく、不揮発記憶素子、高周波発振素子、ニューロモルフィック素子といった様々なスピン素子構築の鍵である。今回の研究により明らかとなったスピン軌道トルクの制御原理は、界面・バルクスピン軌道相互作用に起因するスピン流・スピン分極生成に関する重要な知見を与え、スピン軌道相互作用を中心とした電子スピン物理・工学の発展に貢献するものである。

全件表示 >>

知的財産権等 【 表示 / 非表示

  • スピントロニクスデバイス及びこれを用いた記憶装置

    出願日: 2016-107379  2016年05月 

    特許権, 共同

  • スピントロニクスデバイス及びこれを用いた記憶装置

    出願日: 2015-241179  2015年12月 

    特許権, 共同

  • スピントロニクスデバイス

    出願日: 2012-231849  2012年10月 

    特許権, 共同

  • スピントロニクスデバイス及び情報伝達方法

    出願日: 2008-148556  2008年06月 

    特許権, 共同

  • 磁気抵抗効果型ランダムアクセスメモリ

    出願日: 2007-283363  2007年10月 

    特許権, 共同

全件表示 >>

受賞 【 表示 / 非表示

  • 丸文研究奨励賞

    安藤和也, 2020年12月, 丸文財団, 金属・絶縁体ヘテロ接合を用いた絶縁体スピン流源の開拓

    受賞区分: 出版社・新聞社・財団等の賞

  • 日本学術振興会賞

    安藤和也, 2020年02月, 日本学術振興会, 磁気ダイナミクス駆動による動的スピン流源の創出と展開

    受賞区分: その他

  • 本多記念研究奨励賞

    安藤和也, 2016年05月, 本多記念会, 金属ヘテロ構造におけるスピン-電荷変換に関する研究

    受賞区分: 出版社・新聞社・財団等の賞

  • 船井学術賞

    安藤和也, 2014年04月, 船井情報科学振興財団, 動的スピン流生成現象の開拓とスピントロニクスへの応用

    受賞区分: 出版社・新聞社・財団等の賞

  • 応用物理学会シリコンテクノロジー分科会論文賞

    Eiji Shikoh, Kazuya Ando, Kazuki Kubo, Eiji Saitoh, Teruya Shinjo, and Masashi Shiraishi, 2014年03月, 応用物理学会, Spin-Pumping-Induced Spin Transport in p-Type Si at Room Temperature

    受賞区分: 学会誌・学術雑誌による顕彰

全件表示 >>

 

担当授業科目 【 表示 / 非表示

  • 物性科学

    2024年度

  • プレゼンテーション技法

    2024年度

  • 基礎理工学課題研究

    2024年度

  • 基礎理工学特別研究第2

    2024年度

  • 基礎理工学特別研究第1

    2024年度

全件表示 >>

担当経験のある授業科目 【 表示 / 非表示

  • 物理情報工学実験AB

    慶應義塾

    2014年04月
    -
    2015年03月

  • プレゼンテーション技法

    慶應義塾

    2014年04月
    -
    2015年03月

  • 理工学基礎実験

    慶應義塾

    2014年04月
    -
    2015年03月

  • 物理情報工学実験CD

    慶應義塾

    2014年04月
    -
    2015年03月

 

所属学協会 【 表示 / 非表示

  • 応用物理学会, 

    2017年01月
    -
    2020年12月
  • 日本物理学会, 

    2007年04月
    -
    継続中