論文 - 相馬　智也

12年間にわたった多発性口腔癌の1例

小松俊一,相馬 智也, 杉山健太郎, 山田学, 岩渕絵美, 岩渕博史 and 内山公男

栃木県歯科医学会誌 （(一社)栃木県歯科医師会）  64   161 - 167 2012年04月

共著

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61歳男。右上顎第2大臼歯遠心部歯肉潰瘍精査依頼および疼痛と主訴とした。初診時には右上顎に潰瘍を伴う歯肉の腫脹を認め、右上顎歯肉癌(T2N0M0、扁平上皮癌)と診断された。化学療法と外科的切除を行い、病理組織診断は中分化型・浸潤様式2型の扁平上皮癌であった。1次癌の術後1年2ヵ月に左下顎第1大臼歯部頬側歯肉にびらん形成と周囲の白斑を認め、左下顎歯肉癌(T2N0M0、扁平上皮癌)と診断された。化学療法と外科的切除を行い、病理組織診断は中分化型扁平上皮癌であった。2次癌の術後8年10ヵ月に右下顎第2小臼歯・第1大臼歯舌側歯肉に外向性の腫瘤を認め、右下顎歯肉癌(T2N0M0、扁平上皮癌)と診断された。化学療法と外科的切除を行い、現在まで再発・転移を認めず経過良好である。自験例は12年間にわたって上下顎歯肉に異所性、異時性に発生した典型的な多発性癌であった。