笠井 賢紀 (カサイ ヨシノリ)

KASAI Yoshinori

写真a

所属(所属キャンパス)

法学部 政治学科 政治・社会系列(社会学) (三田)

職名

准教授

HP

研究室住所

東京都港区三田2-15-45

外部リンク

経歴 【 表示 / 非表示

  • 2009年04月
    -
    2010年03月

    慶應義塾大学, 大学院政策・メディア研究科, 助教(有期・研究奨励II)(非常勤)

  • 2009年05月
    -
    2010年03月

    慶應義塾大学, 大学院法学研究科, COE研究員

  • 2010年02月

    茨城大学, 人文学部, 非常勤講師

  • 2010年04月
    -
    2011年03月

    立教大学, AIIC社会開発研究ユニット, 研究分担者

  • 2010年04月
    -
    2012年03月

    千葉商科大学, 政策情報学部, 客員講師

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学歴 【 表示 / 非表示

  • 2003年04月
    -
    2007年03月

    慶應義塾大学, 総合政策学部

    大学, 卒業

  • 2007年04月
    -
    2009年03月

    慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 政策・メディア専攻

    大学院, 修了, 修士

  • 2009年04月
    -
    2012年03月

    慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 政策・メディア専攻

    大学院, 修了, 博士

学位 【 表示 / 非表示

  • 学士(総合政策学), 慶應義塾大学, 課程, 2007年03月

  • 修士(政策・メディア), 慶應義塾大学, 論文, 2009年03月

    参加型行政と公共性:フィリピン・ケソン市の事例から

  • 博士(政策・メディア), 慶應義塾大学, 課程, 2012年03月

    語りを中心とした調査研究の方法論:生活者の問題発見・解決過程に着目して

免許・資格 【 表示 / 非表示

  • 専門社会調査士(社会調査協会), 2012年10月

  • 防災士(日本防災士機構), 2014年

  • 準デジタルアーキビスト(日本デジタルアーキビスト資格認定機構), 2021年02月

  • 漢字教育士(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所), 2022年

  • 漢字教育サポーター(日本漢字能力検定協会), 2022年06月

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研究分野 【 表示 / 非表示

  • 人文・社会 / 文化人類学、民俗学

  • 人文・社会 / 社会学

研究キーワード 【 表示 / 非表示

  • 地域社会

  • 生活史

 

著書 【 表示 / 非表示

  • 共生の思想と作法-共によりよく生き続けるために-

    笠井 賢紀,工藤 保則 他, 法律文化社, 2020年03月,  ページ数: 244

    担当範囲: 序章、終章

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    どうすれば私たちは共によりよく生き続けることができるだろうか。経済、宗教、持続性といった共生を考えるための基盤を論じたうえで、地域社会や様々な場において共生がいかに実践されうるのかを明らかにする。

  • 栗東市の左義長からみる地域社会

    笠井 賢紀, サンライズ出版, 2019年03月,  ページ数: 204

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    小正月に長い竹を組んで立て、正月飾りを燃やす左義長(どんど)と呼ばれる行事は、今も全国各地で行われている。その一つである滋賀県栗東市で、個人に対する生活史調査と全123自治会に対するアンケート調査を実施、民俗学の知見もいかし、社会学(地域社会論)の観点から、左義長の意味と役割を考察する。

  • 基礎ゼミ社会学

    工藤 保則, 大山 小夜, 笠井 賢紀, 世界思想社, 2017年02月,  ページ数: 226

    担当範囲: 第4章 地域社会は誰が作る?,  担当ページ: 55-68

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    社会学を大きく14領域にわけて、初学者に向けてわかりやすい教科書を編んだ。

  • コミュニティリーダーを育てる

    龍谷大学社会学部コミュニティマネジメント学科, 晃洋書房, 2014年03月,  ページ数: 280

    担当範囲: 「1.1 私たちのまちおこし論」「1.4 ほっこり、かたつむ」「3.1 語りから未来を紡ぐ」

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    学生たちがコミュニティへ行き、地域住民とともにプロジェクトを行う教育を行ってきた事例を学科としてまとめた。

  • アジアの持続可能な発展に向けて―環境・経済・社会の視点から

    厳 網林, 田島 英一, 慶應義塾大学出版会, 2013年12月,  ページ数: 340

    担当範囲: 組織の存続とコミュニティの持続可能性,  担当ページ: 101-118

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    組織は、当該組織の個別目的達成の達成だけに意義があるわけではない。とりわけ、コミュニティの存続という人びとの暮らしそのものの持続可能性に貢献するのであれば、仮に手段が目的化するような自体があっても組織を高く評価することができる。このことについて、コミュニティに根差したフィリピンとネパールの事例から明らかにした。

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論文 【 表示 / 非表示

  • Discovering the Meaning of Social Groups and Events through Collaborative Research with Local Communities: Case Studies of Folklores as Repertoires of Symbiosis

    笠井 賢紀

    The KeMCo Review (慶應義塾ミュージアム・コモンズ)   ( 2 ) 10 - 28 2024年03月

    研究論文(学術雑誌), 単著, 筆頭著者, 責任著者, 査読有り,  ISSN  2758-7452

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     本稿は、パブリック・ヒューマニティーズが、民俗や人びとの生活にどのような新たな解釈を与えることができるかを、2つの実践例の紹介を通して明らかにする。第一に、左義長の事例は歳神を天上に返すという物語に沿うだけでなく、社会的紐帯を強める機能を有していた。第二に、伊勢講は伊勢参拝を叶えるだけでなく、共同生活の基盤としても機能していた。これらはいずれも住民やNPOとの共同調査によって明らかになった。
     パブリック・ヒューマニティーズは、人びとと協働して、社会集団の機能や当事者も気づいていないことがらを明らかにすることに寄与しうる。特に、共生のレパートリーともいえるようなコミュニティ生活の根幹にかかわる民俗の分析は、普遍的なテーマへの問いを与えることが明らかにされた。

  • Visualization and Analysis of Small Place Names in Japan Using Data from Official Surveys and Cadastral Maps from the Meiji Era: A Case Study of Koaza Names in Ritto City, Shiga Prefecture, Japan

    笠井 賢紀

    アート・リサーチ (立命館大学アート・リサーチセンター)  24 ( 1 ) 3 - 18 2023年07月

    研究論文(大学,研究機関等紀要), 単著, 筆頭著者, 責任著者, 査読有り,  ISSN  2436-5408

     概要を見る

    本稿は、小地名が「政治的な」分析の対象となりうるかを検討したものである。そのために、いずれも明治期の史料である、滋賀県立公文書館所蔵の公的調査結果と、栗東歴史民俗博物館所蔵の地籍図を用いて小字データベースとGISデータを作成して分析を行った。その結果、命名に関する地域特性が先行研究との比較から明らかになった。また、一大字一集落の原則や、命名規則における集落部と非集落部の差異が明らかになった。以上から、適切なデータの整備を行えば小地名もまた「政治的な」分析の対象となりうると結論付けた。

  • 栗東市域の小字データベース作成過程―分割地名と集落小字名に着目した分析を添えて―

    笠井 賢紀

    栗東歴史民俗博物館紀要 (栗東歴史民俗博物館)   ( 29 ) 1 - 9 2023年03月

    研究論文(大学,研究機関等紀要), 単著, 筆頭著者, 責任著者

  • 基盤型アソシエーションとしての講―滋賀県栗東市目川の伊勢講勘定帳を読み解く―

    笠井 賢紀

    生活学論叢 (日本生活学会)   ( 41 ) 15 - 29 2022年12月

    研究論文(学術雑誌), 単著, 筆頭著者, 責任著者, 査読有り

     概要を見る

    This paper investigates the local community as a unit in which people form cooperative relationships in their daily lives. In this case study, five isekohs located in Megawa, Ritto City, Shiga Prefecture, are investigated. The paper uses 122 years of account books for these isekohs, from 1893 to 2015 as data. Generally, isekohs are groups of people of faith who self-organize on a voluntary basis. In the subject area, the isekohs were integrated with the community, managing property held in common and organizing other functional groups. Over time, its community character gradually shifted to that of a neighborhood organization. The three-tier structure of an isekoh, characterizing it as a community, a fundamental association, and a specific-purpose association in the case of this report is seen to have shifted from the subregional level within the village to the village level. However, in some areas, the three-tier structure itself is overlaid with multiple layers, and such differences in structure represent regional characteristics. To identify these differences, a comparative study of materials from continuously adjacent micro community units that incorporates them in a mutually complementary manner, which is adopted in this study, is useful.

  • 滋賀県甲賀市K団地を事例とした戸建住宅団地における住民自治の研究――自治会報を用いた自治会沿革の描写――

    笠井 賢紀

    法学研究 (慶應義塾大学が法学研究会)  93 ( 12 ) 53 - 77 2020年12月

    研究論文(大学,研究機関等紀要), 単著, 筆頭著者, 責任著者

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KOARA(リポジトリ)収録論文等 【 表示 / 非表示

総説・解説等 【 表示 / 非表示

  • 書評 : 下田健太郎著『水俣の記憶を紡ぐ : 響き合うモノと語りの歴史人類学』慶應義塾大学出版会

    笠井 賢紀

    三田社会学 (三田社会学会)   ( 23 ) 104 - 107 2018年07月

    書評論文,書評,文献紹介等, 単著,  ISSN  13491458

  • 調査報告:域学連携による甲賀市と栗東市の商工観光調査

    笠井 賢紀

    龍谷大学社会学部紀要 (龍谷大学社会学部)   ( 53 ) 68 - 74 2018年

    速報,短報,研究ノート等(大学,研究機関紀要), 単著,  ISSN  0919-116X

  • 研究ノート:滋賀県栗東市の更生保護3者協働

    笠井 賢紀

    矯正講座 (龍谷大学矯正・保護課程委員会)   ( 36 ) 97 - 105 2016年

    速報,短報,研究ノート等(大学,研究機関紀要), 単著,  ISSN  0387-3471

  • 書評論文:コミュニティとの協働 : 参加型アクションリサーチ(CBPR)の理論と実践

    笠井 賢紀

    龍谷大学社会学部紀要 (龍谷大学社会学部)   ( 48 ) 65 - 73 2016年

    書評論文,書評,文献紹介等, 単著,  ISSN  0919-116X

  • ライティング&リサーチコンサルタントの実践と現在

    天笠 邦一, 直江 健介, 笠井 賢紀

    Medianet (慶應義塾大学メディアセンター本部)   ( 19 ) 44 - 47 2012年

    速報,短報,研究ノート等(大学,研究機関紀要), 共著,  ISSN  0919-8474

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研究発表 【 表示 / 非表示

  • Half a Century in a 'New' Town: Biographies of Residents and Neighborhood Associations

    Yoshinori Kasai

    Biographical research quo vadis? New and recurring challenges in the study of life (hi)stories and social change (Budapest) , 

    2024年09月

    口頭発表(一般), International Sociological Association Research Committee 38 (Biography & Sociology)

  • 継承、多世代交流、育ちあいと人口減少期の生活のかかわり

    笠井賢紀

    公開シンポジウム「人口減少期の子どもと生活 継承-多世代交流-育ちあい」 (早稲田大学所沢キャンパス) , 

    2024年06月

    シンポジウム・ワークショップ パネル(指名), 日本生活学会

  • 我が国における和室の利用状況に関する事例研究―住経験インタビューに見る住まいと住み方の多様性 その1―

    池尻隆史,柳沢究,水島あかね,野村理恵,笠井賢紀,山本麻子,野田倫生

    第51回研究発表大会 (早稲田大学所沢キャンパス) , 

    2024年06月

    ポスター発表, 日本生活学会

  • 職住一体の住居における職住の空間構成と居住体験―住経験インタビューに見る住まいと住み方の多様性 その2―

    柳沢究,池尻隆史,水島あかね,野村理恵,笠井賢紀,山本麻子,野田倫生

    第51回研究発表大会 (早稲田大学所沢キャンパス) , 

    2024年06月

    ポスター発表, 日本生活学会

  • 「堆積する歴史」と分散型生活史博物館構想

    笠井賢紀,竹山和弘,木村敏

    第51回研究発表大会 (早稲田大学所沢キャンパス) , 

    2024年06月

    口頭発表(一般), 日本生活学会

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競争的研究費の研究課題 【 表示 / 非表示

  • 高齢者の地域社会貢献活動についての社会学的研究―地域史と人生史の分析を通じて―

    2023年04月
    -
    2025年03月

    日本学術振興会, 科研費, 笠井 賢紀, 学術変革領域研究(A), 補助金,  研究代表者

     研究概要を見る

    縮小・高齢社会においても、地方の地域社会は一定のレジリエンスを有している。ここで、高齢者は地域社会の主体的担い手としてそのレジリエンシーに貢献するものと考えられる。本研究では、地域社会のコミュニティ特性と高齢者の地域社会貢献活動との連関を分析するために、地域史と生活史の調査を中心とした質的混合調査法を取る。主な対象とするのは「旧街道筋の伝統的地域社会」、「1970年代造成のニュータウン」、「旧鉱業/現酪農・漁業村落」という三様の3地域である。

  • 地域社会の総合的調査の体制確保に向けた方法論の探求

    2023年04月
    -
    2024年03月

    慶應義塾大学, 次世代研究プロジェクト推進プログラム, 笠井 賢紀, タイプC, 補助金,  研究代表者

     研究概要を見る

    (1) はじめに
     人々の移動が多くなり、都市部へと人口が流入し続ける時代にあってもなお、あらゆる社会問題の単位として地域という属性は無視できない。格差、疫病、紛争等の社会問題はいずれも国・地域や自治体・集落といった何らかの地域社会によって区切って分析される。
     特定の地域社会を描写したり、地域性を明らかにするためには、その地域を総合的に扱う(holistic approach)ことになり、かつその成果も当該地域を詳細に描くモノグラフになる。そして、総合的に地域社会を扱うためには、質/量の相互補完と時間/空間の相互補完が必要である。
    (2) 質/量の相互補完(混合研究法)
     質的研究と量的研究の間、あるいは質的社会調査と量的社会調査の間には、科学的であるかどうかといった本質的な議論も含め、対立構造で捉えられてきたこともあった。しかし現在では、むしろ両者は相互補完的であり、とりわけ社会調査法としては両者にまたがる複数手法の戦略的な併用(triangulation)が求められている。こうした、質/量の調査を併用して行う研究を混合研究法と呼ぶ。
     もっとも単純な補完関係としては、質的社会調査が当該地域社会の特性に関する仮説を導出し、量的社会調査によってその仮説を検証するといった明確な役割分担によるものが挙げられる。
    (3) 時間/空間の相互補完
     地域社会を規定している基本的な要素が時間と空間である。地域という言葉を用いる以上、それが何らかの空間的範域であることは自明である。他方、どのような空間的範域を地域社会として扱うかは自明のことではない。すなわち、空間上の特定の位置は重層的に複数の地域社会に属している。自治体のような制度的空間においては限定的な議論で済む場合もあるが、生活圏や認知空間といった地域社会を扱うことになる場合、経験的/主観的空間へのアプローチが不可欠になる。
     そして、何らかの空間的範域が地域社会としての意味を深めるのは時間の経過によってである。すなわち、人々の営為が積み重なり社会的要素が蓄積して地域性が生じる。このように考えたとき、その時間の長短にかかわらず、当該社会の可能な限りの歴史的分析が不可欠になる。
    (4) 質/量と時間/空間の社会調査法マトリックス
     以上より、地域社会の社会調査においては【質×時間】【質×空間】【量×時間】【量×空間】の4 象限にある方法を組み合わせた総合的調査が有効である。
     社会調査の個別の方法は無数にあるが、たとえば、【質×時間】では生活史法(life history method)や古文書を用いた史料読解、【量×空間】では地理情報システム(GIS)を用いた空間統計学などがある。
    (5) 本研究の目的
     既存の地域社会調査も総合的調査としての性質を有しているが、以上のような整理に基づく社会調査史の分析は十分に進んでいるとは言えない。こうした状況を踏まえて、本研究の目的は「地域社会調査の総合的調査の体制を確立するための方法論を明らかにすること」に集約される。

  • 縮小・高齢社会のレジリエンスに貢献する高齢者の生活経験の質的研究

    2021年09月
    -
    2023年03月

    日本学術振興会, 科研費, 笠井 賢紀, 学術変革領域研究(A), 補助金,  研究代表者

     研究概要を見る

    今後の日本社会は縮小・高齢社会を前提にする必要がある。縮小・高齢社会においても、地方の地域社会は一定のレジリエンスを有している。ここで、地方の高齢者を支えられる客体として分析するだけでは不十分であり、むしろ共生社会の主体的担い手と考えることが重要である。現在70歳代前半の高齢者はその人生においてライフスタイルの社会的変容を経験し、その中で地域社会と生活との関わりの変化も大きかった。本研究では同世代を主な対象として生活史インタビューを行うと同時に、同世代の生きてきた社会について明らかにするために民俗・地域行事や、自治会報などの地域資料を分析する質的混合調査法を取る。

  • 伊勢参宮ツーリズムの近代史に関する学際的研究

    2021年09月
    -
    2023年03月

    日本学術振興会, 科研費, 平山 昇,菅沼 明正,谷口 裕信,笠井 賢紀, 基盤研究(B), 補助金,  研究分担者

     研究概要を見る

    本研究は、これまで体系的な実証研究がなされてこなかった近代の伊勢参宮ツーリズムの動向(明治初年の御師制度廃止から昭和戦前・戦中期の伊勢参宮ブームに至るまで)について、「ゲスト(参詣者)」「交通・メディア」「ホスト(地域社会)」という3つの主体と、「娯楽・観光」「信仰・民俗」「教育・思想」という3つの文脈が相互に交錯するなかで展開していったことを、歴史学・民俗学・宗教学を横断した学際的アプローチから、実証的かつ総体的に明らかにするものである。

  • 東アジアを中心とした諸地域における歴史実践とパブリック・ヒストリー

    2021年04月
    -
    2023年03月

    高橋産業経済研究財団, 研究助成, 田島 英一,山本 純一,塩原 良和,熊野谷 葉子,鄭 浩瀾,野中 葉,菅野 智博,内尾 太一,原 めぐみ,竹山 和弘,藤田 護,馬場 わかな,髙木丈也,大橋 香奈,後藤 一樹,笠井 賢紀,阿毛 香絵,湯川 真樹江,佐々木 聡,関 日昇,ハーニ ハディ,藤谷 悠,松本 章伸, 補助金,  研究分担者

     研究概要を見る

    1. 研究の目的
    近年「パブリック・ヒストリー」への関心が再び高まっている。パブリック・ヒストリーは公衆による/公共のための歴史実践を指す言葉であり、歴史家によるアカデミックな学に留まらない歴史を含む概念である。
    『パブリック・ヒストリー入門』(2020年、勉誠出版)の編者の一人である菅豊は同書で、「パブリック・ヒストリーとは、歴史学の新しい研究分野や対象、方法を指し示すというよりも、現代社会のなかで歴史学が向かうべき、ひとつの新しい方向性を指し示すもの」とし、その「現場では、学際的という以上の、より脱領域的な叡智を結集するのが自然」であり、パブリックヒストリーが「すべての人文・社会科学にまたがる『入会地=コモンズ』」であると述べている。また、初期のパブリック・ヒストリーがアカデミックとパブリックの分断を極端に強調する誤った二分法であったことを指摘し、両者の協働を説く。すなわち、「歴史学が、アカデミック/パブリックという二項対立と区分表現を乗り越えてもう一度つながり、眼前の社会に向き合う実践を含んだ知識生産の営為として再構築されること」を望む。
    本研究は以上のようなパブリック・ヒストリーの問題意識に正面から向き合い、幅広い人文・社会科学の分野からなる共同研究者が、それぞれの領域における知見を持ち寄って議論を交わす中でパブリック・ヒストリーについての議論を深める。そのことをもって、学問と社会とが対話的に協働しながら広い意味での歴史を形成していく方法論の一端を提示することを目的とする。ここで注意を要するのはパブリック・ヒストリーが「歴史実践」と「歴史実践の研究」という二つの性格を有することである。
    パブリック・ヒストリーは、まず「歴史実践」そのものとしての性格をもつ。歴史実践の主体はまずもって市井の人(ordinary people)である。保苅実が『ラディカル・オーラル・ヒストリー』(2004年、御茶の水書房)で「歴史する(doing history)」というとき、重視したのはそれぞれの「経験」であった。保苅は経験の語りを、(非科学的だとか根拠がないとして)排除するのでもなく、尊重という形で包摂するのでもなく、異なる・根源的には理解できないような経験間の接続可能性を考えていくギャップ越しのコミュニケーションを目指した。
    各人が自身の経験、自分たちの過去を歴史家に独占されることなく紡ぐ歴史実践の過程では、市井の人のみならず、その語りを聞き出したり、あるいは自らも語り出したりする研究者たちも――歴史家であろうとなかろうと――、その主体になり得る。ハーバート・ガンズは『都市の村人たち』(2006訳、ハーベスト社)で、参与観察という研究手法の分類を、研究者の身分の秘匿性によってではなく、研究者の役割によって行うのが妥当だと唱えている。すなわち、真の観察者と真の参与者という両極と、その間の「調査する観察者」という役割とがある。パブリック・ヒストリーにかかわる研究者もまた、観察者と参与者との両側面を有することになるだろう。
    つまり研究者は歴史実践だけではなく、パブリック・ヒストリーのもう一つの性格、つまり歴史実践を対象として研究するという側面に大きく関わる主体である。「アカデミック/パブリックという二項対立」を乗り越えるべく、実践と研究とのいずれかのみに偏ることなく多くの「実践する研究者」によって構成されているのが本研究の特徴である。

    2.研究内容の概要
    パブリック・ヒストリーに①実践、②研究の両面からアプローチする。①実践においては、パブリック・ヒストリーを紡ぎ出す行為、すなわち取材やワークショップなどに歴史実践の形成・促進を行う。②研究においては、パブリック・ヒストリーに関する理論研究のほか、実践で紡がれた歴史実践の分析を行う。また、実践と研究に架橋する領域として、史資料の収集・整理・活用といったアーカイブ化に注力する。アナログデータ(手書き資料、紙媒体資料、テープ類など)をデジタル化するとともに、情報を死蔵させないための利用・表現方法を考案し実際に運用する。
    本研究は研究代表者を含む23名の共同研究である。共同研究員が主に扱う地域は東アジア圏を中心としつつ、その他の地域(アフリカ、ヨーロッパ、中南米、オーストラリアなど)にも幅広く分布している。なお、ある地域を主たる事例とする場合にも、移民など複数のエスニック集団を事例としている場合が複数含まれる。学問領域は社会学、言語学、民俗学、人類学と広く人文科学・社会科学にまたがる。また、扱う媒体も音声(口承、談話、録音テープ)、文書(帳簿、定期刊行物(自治会報)、公文書)、映像と多岐にわたる。各人は、対象とする歴史実践に対し、観察者と参与者の間のグラデーションの中でそれぞれ異なる立場性を持って参画する。
    つまり、地域、学問領域、扱う媒体、参与の度合い(立場性)、歴史実践の種類の組み合わせが多様である。だからこそ、「学のコモンズ」としてのパブリック・ヒストリーという共通関心の基に共同研究を行うことの意義がある。
    以上の実践を含む研究について、共同研究員は各自が個人研究に取り組み、合同研究会で報告をして議論を深めていく。

     備考を見る

    慶應義塾大学東アジア研究所研究プロジェクト

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受賞 【 表示 / 非表示

  • 学会賞(学会誌賞)

    笠井賢紀, 2018年, 政策情報学会, 住民自治組織の位置づけと機能

    受賞区分: 国内学会・会議・シンポジウム等の賞

  • 学会賞(研究大会賞)

    笠井賢紀, 2016年, 政策情報学会, 地域内分権組織研究への生活史法によるアプローチ-甲賀市希望ヶ丘学区自治振興会を事例として-

    受賞区分: 国内学会・会議・シンポジウム等の賞

 

担当授業科目 【 表示 / 非表示

  • 社会学

    2024年度

  • 研究会(政治学科)Ⅳ

    2024年度

  • 研究会(政治学科)Ⅲ

    2024年度

  • 研究会(政治学科)Ⅱ

    2024年度

  • 研究会(政治学科)Ⅰ

    2024年度

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担当経験のある授業科目 【 表示 / 非表示

  • 矯正・保護入門

    龍谷大学矯正・保護課程

    2018年10月
    -
    2019年03月

    秋学期, 学部専門科目, 講義, 兼担

  • 日本の文化と社会

    龍谷大学留学生別科

    2018年10月
    -
    2019年03月

    秋学期, 学部専門科目, 講義, 兼任

  • 社会共生実習

    龍谷大学社会学部

    2017年04月
    -
    2019年03月

    通年, 学部専門科目, 実習・実験, 専任

  • コミュニティ論

    龍谷大学社会学部

    2015年10月
    -
    2018年03月

    秋学期, 学部専門科目, 講義, 専任

  • フィールド実習

    龍谷大学社会学部

    2015年10月
    -
    2016年03月

    秋学期, 学部専門科目, 実習・実験, 専任

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社会活動 【 表示 / 非表示

  • 基調講演「域学連携から伝統を未来へ」

    栗東歴史民俗博物館, 龍谷エクステンションセンター, 国際博物館の日記念事業『栗東市の左義長からみる地域社会』刊行記念シンポジウム (栗東歴史民俗博物館)

    2019年05月
  • 講演「栗東市BBS会の活動と展望~人生を紡ぐ子どもたち~」

    浄土真宗本願寺派更生保護事業協会, 保護司研修会 (浄土真宗本願寺派 伝道本部3階大会議室)

    2019年03月
  • ワークショップ講師「語りから未来を紡ぐ(児相・家児相共同研修)」

    龍谷大学福祉フォーラム第20回専門セミナー, 龍谷大学瀬田学舎, 

    2019年02月
  • 講演「語りから未来を紡ぐ ~龍谷大学7 年間の研究と実践を振り返って~」

    笠井ゼミ同窓会, 教員退職記念講演 (龍谷大学瀬田学舎REC小ホール)

    2019年02月
  • 講演「栗東市元気創造まちづくり事業サポート講座」

    栗東市, 栗東市元気創造まちづくり事業サポート講座 (栗東市役所)

    2019年01月

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メディア報道 【 表示 / 非表示

  • 「SNSを地域活動に活用しよう!」分科会コーディネータ

    「2014地域福祉活動フォーラムinしが」実行委員会, 地域福祉活動フォーラムinしが (滋賀県社会福祉協議会) , 2014年11月

学術貢献活動 【 表示 / 非表示

  • 「ミニまちづくり講座」講師

    栗東市安養寺東区自治会、安養寺北区自治会,  (安養寺東区自治会館、安養寺北区自治会館) , 

    2018年03月

  • 「地域支え合いしくみづくりモデル事業報告会」コーディネータ

    竜王町,  (竜王町公民館ホール) , 

    2018年02月

所属学協会 【 表示 / 非表示

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委員歴 【 表示 / 非表示

  • 2018年04月
    -
    継続中

    委員長, 生活協同組合コープしが できるコトづくり制度助成金審査会

  • 2018年04月
    -
    2020年03月

    委員, 京都市中京区中京区民まちづくり支援事業審査委員会

  • 2018年04月
    -
    2019年03月

    会長, 栗東市シニアが活躍できるまちづくり協議会

  • 2018年04月
    -
    2019年03月

    委員長, 第3期栗東100歳大学運営委員会

  • 2018年
    -
    継続中

    理事, 日本生活学会

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