研究者詳細 - 今井　芳昭

著書 - 今井　芳昭

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チームとリーダーシップの心理学

今井　芳昭, 慶應義塾大学出版会, 2023年11月, ページ数： 104

　本書において、社会心理学やグループ・ダイナミックスの観点からチームに焦点を当て、グループとの違い、自チームと他チームの認識、リーダーシップ、コミュニケーションについて概観した。チームはグループに比べて課題目標やメンバーシップが明確であり、課題目標の達成と共にチーム解消となる場合が多い。チームとしてのアイデンティティや凝集性を高めるためには、他チームの存在を認識し、チームの課題や目標、チーム内の対人関係が魅力的であるようにもっていくことが必要である。チームのリーダーシップとしては、課題目標の達成や対人関係の円滑化に配慮していくことが求められる。近年では、メンバーに対する知的刺激や個別的配慮を重視した変革型リーダーシップやサーバント・リーダーシップも提唱されている。チーム内のコミュニケーションを円滑にするには、人間の特性（ものごとを理解しようとする、報酬を求め罰を回避しようとする、コントロール感をもとうとする）を理解した上で、他者からの評価を懸念しないで済む心理的安全性の確保、傾聴やIメッセージ、非言語的メッセージの活用があることを指摘した。

影響を与える

今井　芳昭, ナカニシヤ出版, 2023年04月

担当範囲: 第２章第２節, 担当ページ： 83-104

　本章では、他者に影響を与える際のコミュニケーションについて概観した。「人に影響を与える」とは、与え手からの働きかけによって受け手の行動や態度の変化が生じることである。その中でも説得コミュニケーションに焦点を当て、結論の明示、論拠の一面提示と両面提示、提示順序、フレーミング（利得、損失のどちらに焦点を当てるか）、脅威アピール、ユーモアについて説明した。また、論拠をストーリー仕立てにして呈示するストーリー説得や受け手の態度強度、送り手と受け手の対人関係にも言及した。さらに、電子機器やスマホのアプリを用いた説得技術（カプトロジー）について説明し、説得にかかわる倫理的問題、現実の意見対立の場面における解決方法についてリスク・コミュニケーションや社会構成主義の考え方を紹介した。

心理学から見た社会

安藤　清志、大島　尚, 誠信書房, 2020年09月, ページ数： 180

担当範囲: 第２章　影響力保持者の認知パターン, 担当ページ： 20-40

　第２章では、影響力（社会的勢力, social power）に焦点を当て、その定義、影響力に関する今までの研究の流れを紹介した後、影響力保持者の認知パターンに関する近年の研究、理論を紹介した。影響力とは、与え手が受け手の態度や行動などに対して、与え手が望むように変化をもたらすことのできる能力と定義することができ、それに関する研究は５つに分類できる。すなわち、影響力の分類と尺度化、影響力行使の手段、影響力動機、影響力に関連する認知、そして、日常的な場面における影響力である。Kipnis(1972)の影響力の変性効果の指摘後、近年は、影響力保持者の認知パターンに関する理論として、影響力の接近／抑制理論(Anderson & Berdahl, 2002)、影響力の状況焦点理論(Guinote, 2007)、影響力の社会的距離理論(Magee & Smith, 2013)が提唱されている。いずれも個人が報酬影響力や強制（罰）影響力を保持することによって、報酬に注目し、ポジティブな情動が喚起され、他者をステレオタイプ的に認知し、ものごとを抽象的に捉えようとし、また、リスク追求的になる傾向を指摘している。本章では、これらの理論を評価し、今後の研究の方向性について論じた。

影響力の解剖

今井芳昭, 福村出版, 2020年02月, ページ数： 212

　本書は、1996年に刊行した「影響力を解剖する」(福村出版)の改訂版である。章立てを変更し、French & Raven(1959), Raven(1965)が提唱した６種類の基本的な影響力から説き起こし、影響力を実際に行使する際に用いる影響手段について解説してある。影響手段については、フット・イン・ザ・ドア法やドア・イン・ザ・フェイス法をはじめとする技巧的な影響手段にも目を向けている。さらに、対人的影響における与え手と受け手、それぞれに関連する心理学的要因(コントロール感、認知パターン、非意識的情報処理、心理的リアクタンスなど)を挙げ、最後に、意図せずに他者に影響を与えてしまう現象(社会的促進や社会的手抜き、行動感染など)について説明している。事例や引用文献についても最近のものを追加した。
　また、６種類の影響力を大きく３つに分類できることを新たに提案した。すなわち、(a)資源に関する影響力(報酬影響力と罰(強制)影響力)、(b)知識(専門影響力と情報影響力)、(c)人間関係(正当影響力と参照影響力）である。この内、資源に関連する影響力がより基本的なものであり、知識や人間関係に関する影響力もその背景には報酬や罰が関連していると捉えることができる。
　トピックとして、教育場面(教師のパワー、いじめ、スクールカースト)、産業組織場面(コンフリクト解決、部署間のパワー)、家庭場面(夫婦間のパワー）にも焦点を当て、それらの場面において影響力がどのように機能しているかを概観した。

新・社会心理学

今井芳昭, 慶應義塾大学出版会, 2019年04月, ページ数： 207

担当範囲: 第２章　対人的影響, 担当ページ： 16-31

　個人が自分の望むように他者に働きかける行為は対人的影響(interpersonal influence)と呼ばれ、意図性、明示性、言語性などの観点から分類可能である。意図的で明示的なものには、依頼、説得のほかに、指示・命令、交渉などがある。他方、隠蔽的な対人的影響は、言語的なものと環境操作的なものに分類できる。前者には、フット・イン・ザ・ドア法、ドア・イン・ザ・ファイス法などの連続的依頼法、情報操作などがあり、後者には、背景音楽、香り、部屋のレイアウトなどを利用した方法がある。さらに、無意図的な対人的影響には、社会的促進、漏れ聞き効果、行動感染、社会的手抜き、傍観者効果などがある。また、説得は、受け手から見た応諾コストが大きく、受け手の拒否が事前に予期される場合であり、受け手の自由意思を尊重しながら、受け手の態度と行動を与え手の望む方向に変えようとする社会的影響である。その際の受け手の反応をモデル化したものとしてPetty & Cacioppo (1986)の精査可能性モデルがあり、また、個人の意図的な行動に影響を与える３要因（態度、主観的規範、コントロール感）を挙げたモデルとしてAjzen(1991)の計画的行動理論がある。

新・社会心理学

今井芳昭, 慶應義塾大学出版会, 2019年04月, ページ数： 207

担当範囲: 第７章　社会的影響力と対人関係, 担当ページ： 98-117

　社会的影響力（社会的勢力）とは、他者（受け手）に影響を及ぼすことのできる能力であり、その基盤として報酬、罰、正当、専門、参照、そして情報影響力が挙げられている(French & Raven, 1959; Raven, 1965)。社会的影響力と対人関係との関連性を見てみると、対人関係の種類にかかわらず、対象人物が受け手に対して影響を及ぼすことが正当であり、受け手に対して罰を与えることができると受け手が認知しているほど、対象人物からの影響には従おうと認知されていた。また、リーダーの保持する社会的影響力は、リーダーシップに関わる現象の部分集合であり、社会的影響力を背景にして、種々のリーダーシップ機能を果たすことが可能になると考えられる。近年では、社会的影響力を保持すると、主観的な影響力の感覚が高まり、行為の多発をはじめ、ものごとの認知の仕方（ステレオタイプ的認知、リスク追求、他者に対する心理的距離の保持など）や課題遂行に関わる情報処理に影響を受けることが明らかにされている。それらに関する理論として、Keltner, Gruenfeld, & Anderson (2003)の影響力の接近／抑制理論(approach / inhibition theory of power)、Guinote (2007)の影響力の状況焦点理論(The Situated Focus Theory of Power)、Magee & Smith (2013)の影響力の社会的距離理論(social distance theory of power)が提唱されている。

社会・集団・家族心理学

今井芳昭, 遠見書房, 2018年12月, ページ数： 195

担当範囲: 第６章　社会的促進と社会的抑制, 担当ページ： 77-90

　他者がわれわれの行動や認知に影響を与えることは社会的影響と呼ばれ、本章では、社会的促進、社会的手抜き、社会的抑制に目を向けた。社会的促進とは、他者の単なる存在、あるいは、共行動者や観察者によって、行為者の課題遂行の業績が向上もしくは低下することである。その説明原理として、Zajonc(1965)の動因(drive)モデル（他者の単なる存在が行為者の覚醒水準(arousal)を上昇させ、それによって優勢な反応の出現が生じやすくなる）が支持されている。しかし、Bond & Titus (1983)のメタ分析によれば、社会的促進の存在を否定することはできないが、その効果は期待するほど大きくはない。他方、社会的手抜き(social loafing)は、複数の個人がほぼ同一の課題を遂行し、集団全体の業績が評価される加算的課題において、課題遂行の人数が増えるにつれて、平均課題遂行量が低下する現象であり(Ingham et al., 1974)、その防止策が指摘されている(Karau & Williams, 1993)。また、他者が周囲に存在することによって、行動の頻度や強度が低下する現象は、社会的抑制(social inhibition)と呼ばれ（McCarty & Karau, 2017)、援助行動（傍観者効果）、情動表出、ステレオタイプと偏見などがある。

説得力　－社会心理学からのアプローチ－

今井芳昭, 新世社, 2018年04月

担当範囲: 242

　本書は、主に社会心理学の観点から他者を説得する際に送り手として考えるべき７つの要因についてまとめたものである。その基本的な点は、イソップ寓話「北風と太陽」になぞらえれば、「太陽」パターンを具体化していくことである。すなわち、友好的な対人関係作り、説得にふさわしい状況作り、（反発を引き起こさないように）受け手の自由の確保、Ｉメッセージによる送り手の気持ちの伝達、効果的な説得メッセージの作成、送り手の社会的影響力の増進、そして、送り手と受け手の双方が納得できる交渉である。さらに、トピックとして、説得時における非言語的コミュニケーションについて説明し、説得の倫理性や社会心理学研究の再現可能性について議論した。

誠信　心理学辞典　新版

今井芳昭, 誠信書房, 2014年09月

担当範囲: 社会的影響 (pp. 261-263)

心理学事典

今井芳昭, 平凡社, 2013年12月

担当範囲: 説得、応諾、社会的勢力、態度

心理学研究法　５　社会

今井芳昭, 誠信書房, 2012年03月

担当範囲: 121-143

　社会的影響(social influence)とは、個人や集団が他の個人や集団の態度、行動、感情に何らかの影響を与えることを指す。その中で、特に、個人間の社会的影響を指す場合には、対人的影響(interpersonal influence)と呼ばれる。具体的には、依頼・要請、説得、指示、命令である。本章においては、対人的影響を３つのレベルで捉えている。すなわち、初対面の見知らぬ人からの応諾を効果的に引き出す状況、権威もしくは社会的影響力をもった個人から影響を受ける状況、そして、集団内の他者の考えに影響を与える状況である。これらの研究領域における代表的な実験を紹介し、その研究方法を概観している。

心理学から見る日常生活

今井芳昭, 八千代出版, 2011年05月

担当範囲: 19-42, 43-66

　本書は、心理学の初学者を対象に、われわれの日常生活を心理学の観点から捉えることを目指した、心理学の入門書である。第２章、第３章では、それぞれ、対人的影響、集団行動をキー・ワードにして記述した。例えば、説得や他者からの応諾を引き出しやすい連続的影響手段、マインド・コントロール、５～６人の小集団におけるリーダーシップや集団的浅慮などである。

市場における欺瞞的説得：消費者保護の心理学

今井芳昭, 誠信書房, 2011年05月

担当範囲: 50-74, 75-100

コミュニケーションと対人関係

今井芳昭, 誠信書房, 2010年04月

担当範囲: 135-153

影響力：　その効果と威力

今井芳昭, 光文社, 2010年04月

担当範囲: 278

　本書の目的は、「なぜある特定の人から影響を受けるのか」という疑問に対する回答を社会心理学の観点か明らかにすることである。受け手が、与え手から何らかの働きかけを受けて、与え手の望むように行動した場合、与え手は受け手に対して社会的影響力(social power)をもっていたと表現できる。その社会的影響力として、French & Raven(1959), Raven (1962)は、報酬、罰、専門、正当、参照、情報の６種類を挙げた。本書では、さらに、魅力、対人関係、共感喚起、役割関係に基づいた影響力を紹介した。その他、他者の存在や反応に影響を受ける現象として、社会的促進、社会的手抜き、行動感染、情動感染、社会的証明を挙げることができる。さらに、集団場面における対人的影響として、同調、集団極化現象、集団的浅慮について説明し、最後に、受け手の側におけるコントロール感の重要性、無意識レベルの働きかけについて紹介した。

感情と思考の科学事典

今井芳昭, 朝倉書店, 2010年04月

担当範囲: 224-225, 232-233

　説得コミュニケーションについては、説得の定義をした上で、説得テーマの種類を挙げ、さらに説得コミュニケーションに関して受け手の反応を規定している要因（一面提示と両面提示、情報の提示順序、恐怖喚起、ユーモア）について記述した。説得技法については、説得の予告、コミットメント（関わり）、自己説得、社会的証明（他者の反応）、心理的リアクタンスを挙げ、説明した。

エコ・フィロソフィ入門

今井芳昭, ノンブル社, 2010年01月

担当範囲: 159-178

社会心理学事典

今井芳昭, 丸善, 2009年06月

担当範囲: 246-247, 286-287

　「社会的勢力」については、French & Raven (1959), Raven (1962)の挙げた賞、罰（強制）、正答、専門、参照、情報勢力の他に、今井(1996)の挙げた魅力、役割関係、共感勢力について紹介した。「依頼と応諾」については、個人間の依頼における目標とその際に用いられる影響手段の分類、foot-in-the-door法やdoor-in-the-face法、low-ball法などに代表されるテクニカルな影響手段（連続的影響手段）について説明した。

仕事のスキル

今井芳昭, 北大路書房, 2009年04月

担当範囲: 171-183

対人的影響における情報の提示順序に関する研究

今井芳昭, 今井芳昭, 2008年02月

担当範囲: 78

影響力の武器：なぜ人は動かされるのか第2版

今井芳昭, 誠信書房, 2007年08月

担当範囲: 329-374

　受け手から権威（専門性＋正当性）をもつと認識された個人がいかに影響力をもちうるかについて記述されている章である。通常、権威者（例えば、医者や弁護士）からの影響に従うことが自分にとって都合のよい結果がもたらされるので、われわれは盲目的に権威者に従ってしまう傾向がある。そうした傾向を利用して、悪質的に受け手に影響を与えることが可能になってしまう。その際、服装や装飾品を用いて権威者に見えるように装うだけで効果を発揮することが可能となる。

社会心理学研究法

今井芳昭, 福村出版, 2007年04月

担当範囲: 78-93

　社会心理学において、実験研究とはどのようなものであり、どのような意味をもっているのかを説明した。具体的には、実験の種類（実験室実験、現場実験、質問紙実験）、実験に関連する変数（独立変数と属変数）、仮説の設定、因果関係、現象の予測とコントロール、実験の妥当性（内的妥当性、外的妥当性、構成概念妥当性）とリアリティ（実験的リアリティ、日常的リアリティ、心理的リアリティ）、そして、研究コストとの関わりから質問紙実験の長短について説明した。

依頼と説得の心理学

今井芳昭, サイエンス社, 2006年09月

担当範囲: 274

　本書は、社会心理学の視点から対人的影響（個人間で相手に何らかの形で影響を与えること）に焦点を当てている。対人的影響にはどのような種類があるのであろうか。どのように相手に働きかけると、相手はこちら（与え手）の望むように行動してくれるのであろうか。働きかけられた受け手はどのようなプロセスで自分の反応（例えば、応諾、拒否）を決めているのであろうか。本書では、対人的影響に関わるこうした問題を取り上げている。

社会的認知研究のパースペクティブ：心と社会のインターフェイス

今井芳昭, 培風館, 2004年05月

担当範囲: 135-148

　対人的影響の分類を考察し、その中で与え手が言語的にある目標をもって意図的に受け手に働きかける依頼、要請、説得といった事象の位置づけを行った。その後、受け手の認知処理を概観するために、説得、社会的行動、健康関連行動に関するモデル（精緻化見込みモデル、意図－行動理論、健康信念モデル）に焦点を当てた。また、受け手の与え手に対する認知を社会的勢力（影響力）という観点から検討した。

エミネント・ホワイト

今井芳昭, 北大路書房, 2003年04月

担当範囲: 39-55

　ホワイトカラー（中間管理職）が部下にどのような影響手段を用いて働きかけているかについて２つの質問紙調査を通して明らかにした。その際、ホワイト・カラー（与え手）の勢力動機にも注目した。大学生、社会人を回答者としてデータを収集したが、場面想定法における影響手段の用い方について、大学生と社会人との間に差は認められたが、職階間の差は認められなかった。全般的には、理由の提示、熱意を込める、資料の提示、自説の長所の強調などがよく用いられていた。また、部課長クラスの勢力動機が相対的に高いことが見出された。

社会的影響における順序効果の研究

今井芳昭, 今井芳昭, 2003年03月

担当範囲: 106

本研究の目的は対人的影響（説得、依頼、連続的影響手段）における順序効果を明らかにすることであった。質問紙実験、現場実験、インターネット実験を通して以下の結果が得られた。まず、自衛隊の海外派遣、ウォーキングを題材にした説得実験において順序効果は見出されなかった。その１つの原因は、同一人物が賛同意見と反対意見を述べていた設定だったからだと考えられる。応諾コストが小さい場合は、door-in-the-face法よりもfoot-in-the-door法の方が効果的であるが、応諾コストが大きい場合は両者の有意な効果は認められなかった。応諾コストが小さい場合は、順序効果が存在するようである。受け手にとってネガティブな情報から提示した方が受け手の応諾を引き出しやすい。また、受け手の対人志向性(Swap & Rubin, 1983)が大きいと応諾度が高くなることが見出された。

ホワイト・カラーの管理技能を探る（その２）

今井芳昭, 日本労働研究機構, 2001年03月

担当範囲: 29-45

心理学 for you

今井芳昭, 八千代出版, 2000年04月

担当範囲: 143-154

高齢労働者に対する安全行動遵守の有効な働きかけ方の検討

今井芳昭, 今井芳昭, 2000年03月

担当範囲: 134

まず、Zohar (1980)のSafety Climate Questionnaireを基にして労働安全衛生尺度を作成した。５因子（安全衛生行動の遵守、安全衛生教育の効果認知、安全衛生の軽視、自分の健康に関すること、職場の危険度認知）を抽出し、さらに、内的コントロール型の個人は外的コントロール型よりも安全衛生行動を遵守していることを見出した。次に、健康増進・維持のためにウォーキングを推奨するという説得場面を設定し、質問紙実験を行った（n=614）。高年齢群（23～71歳、n=78）の場合に、(a)ウォーキングの実施意図が高く、(b)自分の健康は運に左右されていると考え、また、(c)自分の健康は周囲の人によって決められていると考えていないほど、ウォーキング実施回数の多いことが見出された（R2=.29）。

社会心理学：個人と集団の理解

今井芳昭, ナカニシヤ出版, 1999年04月

担当範囲: 153-173

　他者に影響を与えるとはどのようなことなのか、どのような影響力をもっていれば他者に影響を及ぼすことができるのか（社会的勢力の基盤：賞勢力、罰勢力、正当勢力、専門勢力、参照勢力、情報勢力）、他者に影響を及ぼす際にはどのような手段があるのか（影響手段：段階的依頼法、譲歩的依頼法など）、組織内に特有な影響手段（単純依頼、迎合、上司の支援、同僚との連合など）にはどのようなものがあるのかについて記述した。

心理学辞典

今井芳昭, 有斐閣, 1999年01月

「マインド・コントロール」と心理学

今井芳昭, 至文堂, 1998年04月

担当範囲: 89-97

　マインド・コントロール問題研究会が1996年7月に全国の大学生8,966人を対象に行った勧誘に関する質問紙調査の結果を紹介した。全回答者のうち、77.5%は何らかの勧誘を受けた経験があり、その主たる内容は、新聞、学習関連講座、宗教団体への加入であった。勧誘に対する受け手の反応としては、7割近い人が勧誘について誰にも相談せず、「少し応諾した」人も含めると、応諾したのは、新聞で約3割、学習関連、宗教勧誘で約1割の人たちであった。

「マインド・コントロール」と心理学

今井芳昭, 至文堂, 1998年04月

担当範囲: 49-59

　われわれがなぜ他者からの働きかけに応じるかについて、送り手のもつ影響力（社会的勢力）、受け手の一般的な反応傾向という２つの側面から、社会心理学的知見に基づいて記述した。前者については、送り手がコントロールする賞罰、送り手のもつ専門性、高地位、魅力、説得的議論の生成について述べ、後者については、返報性、希少性、他者の反応、一貫性、テクニカルな影響手段について述べた。

高年齢労働者とのコミュニケーション　－高齢化への対応－

今井芳昭, 中央労働災害防止協会, 1998年03月

担当範囲: 57-84

　高年齢労働者に安全衛生行動を遵守するよう働きかけるための技法についてまとめた。まず、受け手としての高年齢労働者がどのような反応を示す可能性があるかをKelman (1961)の3分類、心理的リアクタンスから説明した。その後、精緻化見込み理論や認知的不協和理論からどのように働きかけることが可能であるかに言及した。さらに、集団討議法、段階的依頼法、安全衛生行動を持続化させるための方策など、他の働きかけ方についても説明した。

ホワイト・カラーの管理技能を探る－暗黙知・影響手段・交渉・コミュニケーションの心理学－

今井芳昭, 日本労働研究機構, 1998年03月

担当範囲: 26-57

　ホワイト・カラーに求められる特性を明らかにするために913人の大学生、475人の会社員を対象に質問紙調査を行った。私が担当した変数は、影響手段（企画会議で部下と意見を対立させたときに取る影響手段）、組織内行動（組織内で重要と考える行動パタン）、勢力動機（他者に影響を及ぼしたいという欲求）である。因子分析により変数を集約し、社会的地位（大学生、組織内地位）を従属変数とする多変量分散分析を行ったところ、(a)大学生ほど種々の影響手段を用いる、(b)組織内の高地位者ほど勢力動機が高いという結果が得られた。

紛争解決の社会心理学

今井芳昭, ナカニシヤ出版, 1997年12月

担当範囲: 12-31

　社会的勢力の視点から紛争解決(conflict resolution)を記述した。まず、紛争発生の舞台となる社会的影響の過程を概観して、社会的勢力や紛争がどのように位置づけられるかを考えた。続いて、社会的勢力の特徴を明らかにするために社会的勢力の基盤(源泉)、社会的勢力と影響手段との関連性を概観した。そして、社会的勢力と紛争解決との関連性に焦点を当てた研究を紹介した。

影響力を解剖する

今井芳昭, 福村出版, 1996年07月

担当範囲: 230

個人が他者に対してもっている影響力(社会的勢力)、それに基づいて行われる社会的影響行動をキーワードにした。まず、社会的影響の種類を与え手(影響者)のもつ意図と隠蔽性に基づいて説明した。そして、他者に対する影響力をもたらすものには何があるのか、実際に他者に影響を与える際にはどのような手段があるのかをfoot-in-the-door法やdoor-in-the-face法なども含め解説した。そのほか、影響力動機や受け手の反応（表面的服従、同一視、内在化や心理的リアクタンス）についても記述した。博士論文の一部をまとめたものである。

世代間交流による高齢者の社会参加促進に関する基礎研究　－世代間交流の理論と実践－

今井芳昭, （財）長寿社会開発センター, 1996年03月

担当範囲: 649-677

若年世代(大学生)、中年世代(大学生の親)、高齢者世代(70歳以上)を対象にした質問紙調査(ＳＤ尺度、心理的親近感や社会への貢献度などから構成される態度尺度)に基づいて、３世代が相互にどのように認知しているかを明らかにした。その結果、年齢と共に他世代を寛大に評価する傾向が認められること、男性よりも女性の方が他世代をポジティブに評価していること、高齢者との同居が世代観に及ぼす効果は認められないことなどが見出された。

あやつられる心：破壊的カルトのマインド・コントロール戦略

今井芳昭, 福村出版, 1995年09月

担当範囲: 131-149

　宗教的な破壊的カルトが信者の脱会を阻止するためにどのような戦略が用られているのかについて記述された章の後半部分である。その主要点は、信者の世界観を破壊し、新しい現実感を注入してしまうことである。信者にわからないように、信者の信念と態度を操作し、信者をコントロールする。他方、信者は自分が理性的かつ自発的に考えたり行動したりしていると思い込んでしまうのである。

社会心理学小辞典

今井芳昭, 有斐閣, 1994年10月

担当範囲: 102, 105, 23, 33など

高齢化社会の世代間交流

今井芳昭, （財）長寿社会開発センター, 1994年03月

担当範囲: 429-463

　諸研究に基づいて「世代」を定義し、人々が自世代、他世代をどのように認知しているかという「世代観」に関する諸研究を総覧した。それに基づいて、日本の大学生が自世代とともに他世代、特に高齢者世代をどのように認知しているかを明らかにするために質問紙調査を行った。SD尺度、心理的親近感や社会への貢献度などから構成される態度尺度を用いてデータを収集した。大学生は、高齢者世代の方が自世代よりも社会的に望ましい属性を備え、活動的で、社会に対する貢献度が高いと認知していた。また、明朗性や親和性に関しては自世代の方を高く評定していたことが見出された。

対人心理学の最前線

今井芳昭, サイエンス社, 1993年03月

担当範囲: 152-160

　まず、社会的影響には３つの側面（影響の内容、影響者の保持する社会的勢力、影響手段）があり、それらが受け手の反応に影響をもたらすことを指摘した。その後、社会的勢力には少なくとも５種類あることが明らかにされていること、そして、最近の研究動向として、社会的勢力尺度の作成、他者に働きかけることが与え手自身の認知に及ぼす影響、学級集団内における社会的勢力関係、影響手段の分類などを挙げられることを記述した。

大防郁夫・安藤清志・池田謙一（編）社会心理学パースペクティブ３：集団から社会へ

今井芳昭, 誠信書房, 1991年09月

担当範囲: 10-19

影響力の武器：なぜ人は動かされるのか

今井芳昭, 誠信書房, 1991年09月

担当範囲: 249-283

基礎社会心理学

今井芳昭, 八千代出版, 1990年11月

担当範囲: 65-82

集団を成立させる４つの条件を挙げ、その上で、集団の凝集性、集団規範と同調、多数派と招集派、集団内のコミュニケーション、集団構造と社会的勢力について述べた。最後に、Mabry & Barnes (1980)の研究に基づいて集団行動課程のモデルを紹介した。これは、集団過程を「成員、課題、統合過程、集団維持、課題目標の達成」という５つの要素の相互影響過程として捉えるものである。成員と課題という２つの入力要因を基にして集団内の統合過程（役割分化、規範、凝集性、社会的影響など）が生じ、その結果、集団維持と課題達成という２つの出力要因が生じるという捉え方である。

社会的行動の発達

今井芳昭, 学芸図書, 1988年04月

担当範囲: 70-90

　賞(reward)に焦点を当て、その機能をまとめた。具体的には、賞を与えることにより内発的動機づけを低下させる「過剰な正当化効果」、賞の３つの機能（道具的機能、評価的フィードバック機能、社会的コントロール機能）、効果的なほめ方、賞と子供の認知発達について記述した。賞のネガティブな効果が現れてしまうのは、社会的コントロール機能が顕在化したときであり、課題遂行と賞の獲得との随伴性を行為者に認知させないようにすることが重要であると指摘した。

世界は日本をどう見ているか：対日イメージの研究

今井芳昭, 東京大学出版会, 1987年03月

担当範囲: 296-306

　対日イメージ研究を受けて、日本人に対して日本紹介映画を視聴させることによって対日イメージがよくなるかどうかを検討した。私はデータ分析の段階から関与した。分析の結果、日本人においては、（日本人イメージではなく）日本という国に対するイメージに関して多少の好転は認められたが、外国人の場合のような大きい映画視聴の効果を認めることはできなかった。また、日本人中学生は、外国11ヵ国を先進工業国、発展途上国という観点から大きく２つのカテゴリに分類して捉えていることが明らかにされた。

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